楽ちん代
小学校理科のお手伝いをしている。薬品などの消耗品の発注も仕事のうちだ。頼んであったミョウバンが届いてビニル袋の中に商品カタログが1枚入っていた。「安全試薬うすめびん」とあった。
塩酸などを適切な濃度に希釈するのに便利な試薬びんだという。
びんに線が引いてあって、ここまで水を入れて、赤線まで塩酸を入れると約4%の「塩酸(うすめ)」が出来る。液だれがなく密栓付き、2700円だという。塩酸(こいめ)、約10%、は小さめ
試薬の塩酸は35%、4%水溶液500mlをつくるには、
35%X/500=4%から、X=57gはかりとって水に薄めて500mlにすればよい。
でもこの「うすめびん」は容量だ。いちいち重さを計ることもないし、ビーカーも要らない。小学生だから精度%で大丈夫だ。楽ちん代が2700円だ。
塩酸の相場は20円/kg、まあこれはバルク買いだから論外としても、試薬は1600円から1800円(500ml)だ。
学校向けカタログには「うすい塩酸(4%)」が1100円(500ml)というのがあった。それに、7%が1350円、10%が2000円だ。原液の価格からみて、ほとんどうすめる手間賃だと思う。でも、それらしく濃度にあわせた値がついている。これも楽ちん代だ。
35%塩酸57gは試薬で買ったら500mlが1600円、その約10%分だから160円だ。それを1100円で売っているのだから。買う荷姿を変えれば半分以下だろう。水商売だ。
けど楽ちんだし、2700円のうすめびんに心が動きそうになった。が、いや待て。
いままでどおり、ビーカーで薄めるのを続ける。
一応、化学専攻だったから。
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