乗換えがなくなって直通は楽ちんだけど
60歳でいったん退職しても、65歳までは希望すれば今の勤めを継続できる。最近は70歳まで定年を延長する会社もあるという。でもシニアにとって、これは「いいこと」なのだろうか。
わたしは、今の勤めといっても週4日のパートタイムだけれど、これで職場は3つめだ。60歳までは途中で転職することもなく、メーカーに勤務した。定年後、関連会社の商社勤め。メーカーの論理、商社のやり方の違いで戸惑ったこともあったけれど、見聞が広がった。その後、小学校の教員補助職に応募して採用され、新鮮な毎日だ。
同じサラリーマンではあるけれど、メーカー、商社、公務員という毛色のちがった職を経験した。
元同僚のⅠさんが就活中だ。今はふたつめの会社で商社。仕事はそれまでの延長にちかく、扱う商品のカテゴリーと取引先は同じ業界、左うちわに見える。が、1年契約なので来年度はどうするか、会社に希望を出す時期がそろそろやってくる。
社内では最年長者グループなのでなんとなく肩身がせまい思いだと本人はいう。平気な顔をして「来年も希望」と言うか、新しい職をさがすか。本人の気持ちは半々のようなのだ。
飲みながらこんな話をした。
「埼玉の人が横浜へ行くのに、いっぽんの電車で行けるらしい。和光市から中華街まで乗り換えなし。座って寝ていけるから楽ちんだけど、つまらないね」
「池袋乗換えで構内をウロウロし、東京駅で途中下車、横浜までは東海道にするか横須賀線にするか思案し、横浜で乗り換えて石川町で降りる。むかしはこうだった。乗換えは面倒だけれど、それなりに楽しかったよね」
「会社も同じ、70歳定年までずっと同じところじゃ、どうなのかねえ」
「就活賛成。リスクをとっていろいろ経験する方が面白いじゃない」
Iさん、来週面接だそうだ。
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