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「先生は時給ですか?」

「先生は時給ですか?」

帰りがけ、一緒になった6年生が聞いてきた。「先生」とは呼ばれるけれど先生じゃない、先生のお手伝い。パート勤務だから早い時間に帰れる。だから普通の先生の勤務とはちがうと思ったのだろう。

「そうだよ」
「いくらですか?」
「企業秘密!」

ここは、ごまかした。最近の小学生は世間慣れしている。

4月から時給が少し上がった。勤務時間も30分増えて、1日5時間になった。給料日、明細を見ていると、用務員のオバさんがニタニタしながら寄ってきた。

「手取り、減ったでしょ」
「そうなんだよ」

社会保険加入になって控除額が増えた。時給アップの恩恵がないどころか減った。「パートの壁」が立ちはだかった。

最低賃金というのがある。2024年度は全国加重平均で1055円、51円の引き上げ答申だ。仕事は同じでも、地方によって生活環境、物価、企業体力がちがう。952円から1163円まで、時給にして211円もの差がある。それでも、安いなあと思う。最低賃金の決め方はリーズナブルなのだろうか。

お役所が真ん中に、左には企業代表、右には労働者代表がすわって綱引きをするのだそうな。国の指針50円アップをにらんで、春闘、物価、企業業績などで折り合いをつける。なかには、隣りの県よりすこしでも高く、お役所のメンツもはいるとか。

欧州委員会の目安は、労働者の年収平均に対して50%、中央値の60%と明確だ。それを日本に適用すると本来なら1400円になるはずだという(デービッド・アトキンソンさん、毎日新聞)。厚生労働省や各地域別の最低賃金審議の議事録を見ても、よくわからない。

1400円に近づけて欲しいものだ。そうなれば、わたしの時給もつられて上がって、手取り分は目減りしないはずだ。

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