
留守録を最後まで聴くのはしんどい
いつ頃だったろうか。ケータイ電話が営業部員に支給され、連絡事項があるとすぐにケータイに電話できるようになった。それまでは夕方の定期連絡まで待つか、緊急なら訪問先予定へ取次ぎを頼むこともあった。ケータイには留守録機能もついていた。
要件だけ簡単に伝えてくれればいいのに、要領の得ない長い留守録を最後まで聴くのはしんどいことだ。
その日、Hさんは東北地方に出張していた。現場試験が夕方遅くまでかかり、終わってケータイをチェックすると留守録が入っていた。再生ボタンをおすと、事務所のMさんの陽気な歌声が聞こえてきた。Mさんの18番、懐メロ「高原列車は行く」だ。用件は何なのだろうか。前ぶりがいいので要件を楽しみに最後まで聞いた。「ポッポー」と汽笛をまねた声で終わった。それだけだった。
今はメールやショートメッセージがあるから留守録はあまり使わない。わたしも、スマホに留守録機能をつけていたのを忘れていた。正月用に故郷の「なれずし」をFAXで注文したあと、留守録が入っていたのに気がついてボタンを押した。
メッセージが文字で表示されていた。
「もしもし○○さんですか あの△△です 確かに届きましたのでありがとうございます。じゃあ31日に着くように遅(送)らしていただきます。ありがとう。ことしも....
留守録が文字起こし表示されるんだ。
これはすごいことだ。見るだけで聴かなくても済んでしまう。でも最初の60-70字くらいしか表示されていないのが残念だ。
留守録も聞いてみた。文字表示通りだったが、「ことしも....」のあとが長かった。お店の奥さんのおしゃべりがいつものように続いていた。
最後まで文字起こしされれば、ひとめで内容がわかるようになる。そうなれば、HさんもMさんの美声を最後まで聴かなくてもすんだかもしれない。