川中島からウクライナへ
「勘助、どうじゃ」
目の前には、巻物が広げられていた
「御屋形様、ゴシック部16字の旗印、結構と存じまするが、それがしの意見を一言申し上げたく」
「申せ」
「孫子兵法の本質は、敵を欺き、混乱に陥れるところにござりますれば、奇想天外なカラクリが肝要かと」
「うむ」
「正面に大軍勢がいるように見せかけ、実のところは無人とし、兵を左右の脇に隠すのでございます」
「さらに、正面は無人と言えども、敵陣に向け一斉に進軍させ、発砲もさせまする」
「なんと、騎馬隊も鉄砲隊も無人と申すか」
「敵もまさかと思うでありましょうが、やがて無人と気づけば出てまいるでしょう。そこを両側から兵たちに襲わせまする」
「勘助、さすがじゃな」
だが、上杉軍に裏をかかれた勘助は無念の最期を遂げ、戦国時代の自動操縦は、450年あまり後に持ち越された
(427字)
孫子の兵法は13章からなっていますが、その7番目の章の軍争の3節が今回のポイントです。
https://ctext.org/art-of-war/maneuvering
2022年8月20日以来、以下の企画に毎週参加させて頂いており、ついに1周年、当初予定ではもう打ち切りですが、今回はとりあえず続行。以前は410字前後を大幅に超えることもありましたが、短く収まるようにしたいと思っています。今回のお題は「戦国時代の自動操縦」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。
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