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あえて口にせず心で唱える言葉
ありがとうございます
どこの国でも、どの町でも、人が出会えば、誰でもほぼ口にする感謝のあいさつだ
買い物すれば、お店の人が何度も言っている
誰にでも言っている
もちろん、本当にありがたいと思っている部分もあるだろう
正直な感謝の気持ちでもあるのだろう
それでは、もっと大きくてもっと重大な感謝の気持ちは、どう表現すればいいのだろうか
重大な危機を救ってもらったとき、お店で言うようなのと同じ「ありがとうございます」といった言葉で足りるのだろうか
最近の日本語の話し言葉で「感謝しかない」というものがあり、これを連発しているのを耳にして、これは、かつての素直な「ありがとうございます」よりもはるかに軽いと感じた
重大な思いを、そんな軽い言葉で伝えようとする者はまず信用できない
きっと重大な感謝の思いは、その思いが深ければ深いほど、そう簡単には伝えられない
伝えたくても伝えられない
心の中でひとしきり叫んだあと、気を取り直し、ややかしこまって、お辞儀をしたら、自然と「ありがとうございます」と口について出た
そして、気がつくと、何度も「本当にありがとうございます」と
繰り返し言っていた
目の前には誰もいない
本当にありがとうございます
心から感謝しています
(512字)
2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に毎週参加させて頂いています。2024年4月まで1年ぴったりの継続のつもりです。金曜午前(早朝)に投稿します。今回のお題は「ありがとう」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。
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