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空気をなくせ

月の色が赤くなることが、数1000年前にはあったということだ

皆既月食もしくは月が水平線に近い時、太陽光のなかの青色光が大気散乱により弱まる
赤色成分が相対的に強まって、月は赤く見える
夕陽が赤いのと同じような大気現象だ

月の色が血のように赤いのを不吉だと考える者たちも大勢いた
その不吉は、自分たちと対立する宗教のせいだと互いに罵り合っていた

ついに人類は科学的見解とスピリチュアル見解の合体を選択した

大気現象は空気があるからこそ生じるものだ
もし地球に空気がなければ、月の色が赤くなることはない

こうして地球から空気を除去することになった

当時、重力兵器というものが開発されていた
核兵器を無力化するほどの強力兵器だが、それゆえ出番はなかった

だが、その重力兵器を使うと、地球の空気を火星なみにすることは可能だ

人類の望み通り、地球の空気は一変した

月の色はもはや赤くなることはなくなった
いつも白っぽい月だ
もはや、月の色が不吉だと考える者たちはいない

だが、空気がなくなり、青色成分の大気散乱が起きないため、空の色はもはや青くない
(454字)

2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に参加させて頂いております。ショートショートから始め、新たな好奇心で漢詩(七言律詩)、短歌、連歌なども練習しています。今回のお題は「月の色」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。

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