ナノマテリアル糸にぶら下がる
お釈迦様はカンダタが蜘蛛を助けたことがあったことを思い出されました
この男を地獄から救い出してやろうか
蓮の葉の上にいた蜘蛛に糸を地獄に垂らすようにお命じになりました
これは宇宙エレベーターである
普通の糸では切れてしまうからカーボンナノチューブを使うがよい
地獄の血の池にいたカンダタは、降りてきた糸に気づきました
さっそく登り始めました
かなりの高さまで進んだ頃、足元が引っ張られる感じがしました
糸の下の方には、数限りもない罪人たちがアリの行列のようによじ登ってきているではありませんか
おかげで糸は安定し、左右に触れにくくなり、登りやすくなりました
しめた とカンダタは思いました
その時です
助けて~ という声が天地に響きました
しまった!
お釈迦様は失敗に気づかれましたが、時はすでに遅し
悲鳴をあげて命乞いする蜘蛛はそのまま地獄に転落してゆきました
カンダタも他の罪人たちも血の池に逆戻りです
地獄の民をナノマテリアルだけで救済することに無理があるようじゃ
(418字)
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html
2022年8月20日以来、以下の企画に毎週参加させて頂いており、当初予定では1年で打ち切りのつもりが、そのまま延長して続行しています。ふだん全く考えもしない、ありえないことを大胆にテーマにして書いてみたいです。以前は410字前後を大幅に超えることもありましたが、今は、ショートショートらしく短く収めるように練習する機会にしたいと思っています。毎回月曜朝5時の投稿を予定しています。今回のお題は「命乞いする蜘蛛」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。
初めての皆様へ
皆様には、桜井健次のエッセイのマガジン「群盲評象」をお薦めしております。どんな記事が出ているか、代表的なものを「群盲評象ショーケース(無料)」に収めております。もし、こういうものを毎日お読みになりたいという方は、1年分ずっと読める「群盲評象2024」を、また、お試しで1か月だけ読んでみようかという方は「月刊群盲評象」をどうぞ。毎日、マガジンご購読の皆様にむけて、ぜひシェアしたいと思うことを語っております。
マガジンご購読の皆様への御礼
ここから先は
月刊「群盲評象」(試読ご希望の方向け)
現代は科学が進歩した時代だとよく言われます。知識を獲得するほど新たな謎が深まり、広大な未知の世界が広がります。知は無知とセットになっていま…
いつもお読みくださり、ありがとうございます。もし私の記事にご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひマガジンをご検討いただけないでしょうか。毎日書いております。見本は「群盲評象ショーケース(無料)」をご覧になってください。