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コウモリの復讐
食べる夜行性動物と聞いても、日本人はピンとこない
そんなの、食べないよ
東南アジア、オセアニア、中国、アフリカではかなり普通だよ
コウモリを捕まえて食べるんだって
森って昼と夜では支配者が違う
コウモリは夜の森を飛んでいる
そこに仕掛けた網に引っかかる
必死で逃れようと鋭い叫び声をあげ、網を食いちぎろうともする
もちろん無駄な抵抗だ
昼間飛んでいるコウモリは飛び道具で撃ち落とされるようだ
レストランとか知人宅の家庭料理だったら、気づかずに食べちゃうかも
解説されなければわからないんじゃないかな
やられっぱなしのコウモリは面白くない
保護もされず、養殖もされず、それでも世界中で最も繁殖しているコウモリ
夜の森を支配するコウモリ
なのに、なんだ、このざまは
実はコウモリはだいぶ前から復讐をたくらんでいる
そうだったのか!
どこの国にも、どの会社にも、コウモリ男、コウモリ女と呼ばれる者たちがいる
彼らは、派閥争いがあると、どちらに対して忠実な目下の味方でもあるように振る舞って歓心を得ようとしている
万一、ばれそうになったら、さっさと逃亡する
そうだ、そのようにして人類を混乱させ、自滅させようとたくらんでいる
そればかりではない、新しいウィルスの研究にはコウモリが必須と考えられている
絶滅危惧種指定を受けたコウモリもいる
コウモリの地位は向上している
20世紀後半以後、幾度となく訪れたパンデミックに人類は恐怖した
コウモリと人が生活レベルで共存する領域が増えた結果とも考えられる
森のコウモリには手を出すな
無理に食用にしなくてもいいじゃないか
棲み分けようじゃないか
コウモリ男やコウモリ女だけではなく、そう考える者たちが増えてきた
日本人のほとんどは、賛同するんじゃないか
そう、復讐は成功している
コウモリ、恐るべし
(734字)
2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に毎週参加させて頂いています。2024年4月まで1年ぴったりの継続のつもりです。このところは土曜午前の投稿になることが多いです。今回のお題は「食べる夜」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。
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