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量子もつれで顕微鏡画像が鮮明に

夜空を眺めていると、いくつかの星が瞬いているように見えることがあります。これは、もちろん、星そのものが発している光の強度が短時間にそうだと気づくレベルで大きな変化をしているというわけではありません。光は大気中の粒子などによって散乱されますし、そもそも大気じたいが風などによって移動しますから、その際に屈折率も変化します。その結果、星が瞬いているように見えます。実際、星の瞬きは、風の強さとも関係しています。結局のところ、星の瞬きに限らないことで、宇宙空間から地表までの大気の層を通過した結果を見るしかないですから、必ず大気の影響を受けます。

こうした影響を補正する方法が考案されています。それは補償光学系と呼ばれるものです。光の波面がいかに乱されているかを測定し、その結果を使って、本来の画像を復元しようとする方法です。

このような技術は、望遠鏡だけでなく、ミクロの世界を観察する顕微鏡においても非常に重要です。何気なくそこらで使われている顕微鏡も、実は、先述の天体観測とまったく同じ性質の問題を抱えています。

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現代は科学が進歩した時代だとよく言われます。知識を獲得するほど新たな謎が深まり、広大な未知の世界が広がります。知は無知とセットになっていま…

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