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聞風之詩

風薫ると言うが、その匂いの実体は何なんだ

おそらくは季節の植物に由来するものとかが主であることも多いだろう
だが、そうでなくても差し支えあるまい
本質は、匂いを嗅ごうとする能動性にあるのではないか
ただ匂いがするといった受動的な感想にとどまらない
匂いそのものを味わい、そこからイマジネーションを引き起こす

アメリカの詩人でフェミニスト活動家のオードリー・ロードは「風の匂いを嗅ぐ」(Smelling the Wind)という詩を書いた

Rushing headlong
into new silence
your face
dips on my horizon
the name
of a cherished dream
riding my anchor
one sweet season
to cast off
on another voyage

No reckoning allowed
save the marvelous arithmetics
of distance

では、オードリー・ロードの詩、Smelling the Windの主なポイントを七言律詩にせよ

驟入新寂靜無垠,
君顏乍現我天際。
夢中摯愛名字現,
心之錨繫美時節。
揚帆再啟新航程,
未有盤算數距離。
唯餘奇妙算術在,
遙遠長路任遨遊。

現代日本語訳

新しい静寂の中へ
あなたの顔が空に現れる。
最愛の人の名前が夢に現れる。
私の心に支えられ
私たちは新しい航海に船出する
私は距離を数えていない。
私には不思議な算術だけが残っている。
私は長く遠い道を旅することができる。

(648字)

https://sevengoodthings.com/smelling-the-wind-audre-lorde/

2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に毎週参加させて頂いています。2024年4月まで1年ぴったりの継続のつもりでしたが、しばらく延長します。このところは、漢詩(七言律詩)を投稿することが多くなっています。今回のお題は「風薫る」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。

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