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浪費のための蓄財
2023年2月から、毎週金曜日、「金」または「経済問題」または「錬金術」または「金星」または「金曜」に関係するワードをテーマに含む短めの記事を書くことにしております。この頃は、現代のマネーに翻弄される人々の姿に重なる愚かな守銭奴たちを描写した近代文芸作品を取り上げることが多くなっています。
「Moral Essays」と言えば、18世紀前半に活躍したイギリス詩人、アレクサンダー・ポープの倫理テーマばかり4編からなっています。1731年から1735年にかけて発表されました。そのうち、バサーストへの手紙は「富の使い方について」です。
コブハムへの手紙(1734年、コブハム卿リチャード・テンプル宛)、「人間の知識と性格について」
婦人への手紙(1735年、マーサ・ブラウント宛)、「女性の性格について」
バサーストへの手紙(1733年、バサースト卿アレン宛)、「富の使い方について」
バーリントンへの手紙(1731年、バーリントン伯爵リチャード・ボイル宛)「偽りの趣味について」
この手紙のなかの物語にも守銭奴が登場します。老コッタです。
その自宅は雑草が生い茂っています。なんと節約するために雑草を食べます。植物の知識と経験で、菜園を作っているのではありません。単に極端にケチな人物です。お金があっても、使いたくないのです。蓄財したいのです。蓄財に計画があるのではなく、自己目的化されています。蓄財のための人生です。
ところが、その息子は、浪費家です。この財産をあっという間に使い果たして、すべてをなくしました。
金にとらわれ、翻弄される者たちのほぼ宿命のようです。200年経った現代でも、構造としてはよく似たことがあちこちで見かけるものです。
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