トリチウムの吉凶
縁切りで有名な神社に行ってきた
混雑していたので、夜に出直した
暗くて何も見えない
あれっ おみくじの中身がなにか見えるよ!
どうして?
それはそうと、お父さんから借りた時計はくっきり読める
夜光塗料を塗ってあるからかな
放射線で光るシンチレータと呼ばれる物質に微量のラジウムを混ぜると、ハイ、簡単、文字盤は光る
放射線は薄い紙1枚で止まるほどなので問題ないが、製造現場では深刻な労災があった
いまでは作業者にも安全性の高い物質に置き換えられた
それで、おみくじの中身はどうだったの?
明るいところで見ると「吉」と書いてあるようだ
見ているうちに消える
目を凝らしているとうっすら「凶」と書いてあるのかなと思えてくる
暗いところに行くと「凶」がはっきりする
蓄光性ルミノヴァ有色塗料で「吉」と書き、その上から、微量トリチウム入りの白色顔料で「凶」と書いたんじゃないか
つまり、よい子は夜の外出はするなよ、ってこと
すごい、夜光おみくじ!
(401字)
2022年8月20日以来、以下の企画に毎週参加させて頂いており、ついに1周年、当初予定ではもう打ち切りですが、今回はとりあえず続行。以前は410字前後を大幅に超えることもありましたが、短く収まるようにしたいと思っています。今回のお題は「夜光おみくじ」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。
初めての皆様へ
皆様には、桜井健次のエッセイのマガジン「群盲評象」をお薦めしております。どんな記事が出ているか、代表的なものを「群盲評象ショーケース(無料)」に収めております。もし、こういうものを毎日お読みになりたいという方は、1年分ずっと読める「群盲評象2024」を、また、お試しで1か月だけ読んでみようかという方は「月刊群盲評象」をどうぞ。毎日、マガジンご購読の皆様にむけて、ぜひシェアしたいと思うことを語っております。
マガジンご購読の皆様へのお知らせ
ここから先は
月刊「群盲評象」(試読ご希望の方向け)
現代は科学が進歩した時代だとよく言われます。知識を獲得するほど新たな謎が深まり、広大な未知の世界が広がります。知は無知とセットになっていま…
いつもお読みくださり、ありがとうございます。もし私の記事にご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひマガジンをご検討いただけないでしょうか。毎日書いております。見本は「群盲評象ショーケース(無料)」をご覧になってください。