シン・竹取物語
今は昔、竹取の翁といふ者ありけり
その竹の中にもと光る竹なむ一筋ありけり
筒の中光りたり
それを見れば三寸ばかりなる人いと美しうて居たり
紆余曲折を経て、月から迎えあり、かぐや姫は羽衣を着て去って行った
地球でのすべての記憶を失い、全く別のキャラになった
あれから軽く100万年か、1000万年は経っただろうか
ここは月面基地だ
日が昇ってきた
朝陽のまぶしさは格別だ
地球から迎えが来たらしい
姫は机の上のメガネを手に取った
そういえば、その昔、人々が眼鏡というものをかけていた時代があった
今でも博物館に行けば、そのようなものが展示されているのではないか
眼鏡とは焦点位置の補正を行うためのレンズが付属している道具のことだ
眼鏡には耳に引っ掛けるような部品がついており、ちょうど両眼の前にレンズがくるようになっている
かつて、視力が不十分な人々が多かった時代、そのような補正を行う必要がったということだ
今日のメガネは、視力とは何の関係もない
外観はサングラスやメタバース用ARグラスと似たところがあるだろうか
紫外線などの放射線防護を目的とするものだが、竹取物語のなかの羽衣と同じく記憶を抹消する効果がある
姫は月の者たちに別れを告げた
メガネを取り付けて地球に旅立った
これまでの記憶は再び消去された
キャラは再び違うものになった
今は昔、竹取の翁といふ者ありけり
その竹の中にもと光る竹なむ一筋ありけり
筒の中光りたり
それを見れば女子あり
笑ひて、いわく、「いえい! メガネ朝帰り!」
かぐや姫はプレイガールとして五人の貴公子と浮名を流したが、いずれまた月から迎えが来る
こうして、歴史は繰り返すのだった
(677字)
2022年8月頃から、毎週、以下の企画に参加させて頂いています。ずっと土曜日に投稿していましたが、最近月曜日にシフトしました。今回のお題は「メガネ朝帰り」でした。どうぞよろしくお願いいたします。
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