ニューオーリンズの夜
ニューオーリンズと言えば元はフランス領土だった街だ
幽霊と吸血鬼のツアーが人気だ
観光客向けのただの遊びのようなものだとずっと思っていた
だが、本物の吸血鬼がそこに生きていた
その吸血鬼を懸命に追う者たちがいる
吸血鬼は日の出の前にはどこかにある棺におさまり隠れてしまう
夜明けまでに追いつめる必要がある
そうすれば、棺を暴き、日光を浴びせることもできよう
ある日、吸血鬼は密会の会場に忘れ物をしてしまった
懸命に探すが見つからない
あろうことか、スマホを忘れてきてしまったようだ
他の電話からその番号にかけてみた
かけてから気づいた
きっとさっきの会場だ
あわててその場に行ってみた
あった!
鳴った電話のおかげで、追跡者たちも追いつくことができた
窓のカーテンが大きく開かれた
太陽の光がさんさんと降り注いだ
吸血鬼はスマホを片手に倒れこんだ
みるみる白骨化してゆく
そして灰のようになった
白骨化スマホを拾い上げ、追跡者たちは休む間もなく、次の任務に就いた
(409字)
2022年8月20日以来、以下の企画に毎週参加させて頂いており、ついに1周年、当初予定ではもう打ち切りですが、今回はとりあえず続行。以前は410字前後を大幅に超えることもありましたが、短く収まるようにしたいと思っています。今回のお題は「白骨化スマホ」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。
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