ラブリラン6~10話:鬱展開の先に
どんな結果にも必ずそうなる原因がある、と思う。
だから6話終盤あたりから最終回(10話)の残り5分くらいまで、ずーーっと「もううんざりなんだよ」と(町田ばりに)言いたくなるような鬱展開が続くのにも、ちゃんと理由があるはずだ。
当たり前だけど、つくづく恋愛とは2人でするもので、どちらかの気持ちが揺らいでいたらダメだ。
思い返せば、さやかの告白(6話)、杏子に「終わってないよ」と言われた時(7話)、さやかの再度の告白(8話)、誕生日前夜にさやかに電話をかける町田(9話)、杏子からさやかとの別れの真相を聞いた町田に会うさやか(10話)と、さやかと町田の想いが交わってもおかしくないタイミングはこれだけあったのに、どれも上手くいかない。
町田はさやかが記憶を失くす前、亮介のことが忘れられなかったと思っているがゆえに、また同じことを繰り返す未来が見えてしまう(しかも亮介もさやかを意識しているようだし)。
さやかはさやかで、もうこれ以上傷付きたくないと殻に閉じこもったり、イギリス行きを邪魔したくないと身を引いたり。
恋愛にはタイミングが大事ともよく言うけれど、町田とさやかの間に延々と続く鬱展開は、ただタイミングがすれ違ってしまっただけで片付けられるものではない。
どちらかが前に進もうとするたびに障壁になるのは、受け手側の自信のなさだ。さやかを幸せにできるのは自分ではなく亮介なのではないか。こんな私をこれからも好きでいてくれるのだろうか。距離が離れたらダメになってしまうのではないか。それぞれが、それぞれの壁を越えられずにもがくプロセス、それが鬱展開の正体なのだ。
町田が相手を思いやりすぎるから上手く行かない。初回放送時はそう思っていたけれど、それはきっと町田の優しさであり弱さでもあると、2回目の今は感じる。
10話後半は、登場人物それぞれが自信を取り戻すために動く展開だった。
「ねぇ翔平、私のこと好き?」「私は嫌い」
杏子は町田に問いかけて、自分でそう答える。そして自分がついた嘘を打ち明ける。町田の心を手に入れたくて、彼が手放した夢を叶えたくて、アンフェアな行動をしてしまった自分から本来の自分の戻るために。
亮介は傷心のさやかの心の隙間に入り込もうとする自分の気持ちに蹴りをつけ、町田に気持ちをぶつけないままでいるさやかの背中を押す。
「同じままでいいのか?あいつが変えてくれたんだろ、お前を」
さやかを空港へ走らせるのは、町田に自分の想いを伝えようとするさやかの背中を押すのは、亮介のように見えて本当は町田だ。
そして町田は、最後の壁を越えようとするさやかから勇気を受け取る。
「俺が忘れさせない」
町田がさやかを変え、さやかが町田を変える。
「2人で一緒に歩きたかったんだもん。見守られるんじゃなくて」
杏子が語った理想は叶わなかったけれど、1度目のさやかと町田も実現できなかったけれど。
2度目の2人なら大丈夫。1年後の笑顔が、その証なのだと思う。
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