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【イベントレポート】ご好評イベント「非IT企業でもできるDXのススメ方」中級編vol.2が開催されました!

2022年2月に開催された中級編Vol.1に続く、企業向けのDX推進イベント「非IT企業でもできるDXのススメ方」の中級編vol.2が開催されました。今回も神戸市が開設したコミュニティスペース「ANCHOR KOBE」にて、K.S.ロジャース代表の民輪がじっくりお話をさせていただきました。

本記事では、前回2月のイベント内容の続きとなる、非IT企業に向けたDXのススメ方をまとめてお伝えします。

Vol.1の記事はこちら

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◾️ANCHOR KOBE
神戸市が開設し、株式会社神戸新聞社と有限責任監査法人トーマツが運営元となり、スタートアップ、企業、大学、研究者、市民が、自らのアイデアや想いを、多様な人々とともにカタチにし、イノベーションを創発するコミュニティスペース。

スタートアップや企業の関係者、学生らに参加を呼び掛け、社会・企業の課題解決、即戦力となる人材の育成、会員企業での学生インターンシップ(就業体験)、情報発信支援、国内外の施設との連携等に取り組む。

◾️民輪一博(株式会社K.S.ロジャース 代表取締役社長)
エンジニア出身の起業家。コロナ以前からリモートワーク・フルフレックスのK.S.ロジャース株式会社を立ち上げ、副業・業務委託・正社員と多様なワークスタイルのエンジニアを組織化してきた。
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イベントは民輪による自己紹介と、前回の振り返りから始まりました。

前提として、DX人材は見つけにくいということ。K.S.ロジャースではDX人材の採用支援だけではなく、実際のオンボーディングとチーミングまでを支援できる体制を整えています。その中で獲得したノウハウを、この一連のイベントでお話しいたしました。
ここからは、民輪によるイベントの内容をまとめていきます。


DXの定義をおさらい

DXとは?と聞かれたとき、明確に答えられない人がほとんどです。実際私も、2年前まではDXを自分の言葉で語ることができませんでした。その苦い経験を元に、自分なりの理解をスライドにまとめています。

DXとは「顧客への提供価値を向上させること」ではないかと思っています。その先に売り上げや、儲けがあります。DXはあくまで手段であり、目的ではありません。

DXの定義と着手フローについては前回詳しくお話ししていますので、記事を参考にしてください。

「攻め」と「守り」、DXの2つの種類

日本企業は「DX」という単語に過敏ですが、その割に進んでいない現状があります。

DXを進めるには、守りと攻めの2種類があることを理解し、自社の状態に応じたアプローチ方法を取る必要があります。

DXの初歩は、守りからです。特にまだDXが進んでいない企業では一歩目が重要です。着実に小さな成功を重ねていきましょう。

攻めのDXの投資

攻めのDXを推し進めるときは、玉を打たないといけません。

その玉は厳選して打つ必要がありますが、玉をひとつに絞り込んでしまうと失敗時のリスクが大きくなります。すべての玉が当たるわけではありませんから、ベンチャーキャピタルと同じで、分散投資しなくてはいけません。

また攻めのDXでは、PoC (Proof of Concept, 実証実験)というプロセスが重要です。

PoCは新しい技術や理論、原理、手法、アイディアなどに対し、実現可能か、目的䛾効果や効能が得られるか、などを確認するために実験的に行う検証工程です。製品やシステムの簡易版をつくり、実際に使うことで具体的な検証を行い、効果検証や実証実験を行います。

DXの3つの壁

【企画の壁】
守りでも攻めでもアイデアを出す必要がありますが、ここにひとつ目の壁があります。アイデアが出る組織になるよう、社員の意識醸成も求められます。個人的にはリテラシー教育に効果があると感じており、そのようなコンテンツを提供する会社も増えてきています。

【組織の壁】
アイデアが出たら見極めて、検証と評価を進めますが、1人でできる作業ではありません。しかし誰かをうまく巻き込むのも難しいですよね。ここに組織の壁があります。

【開発の壁】
PoCを回し実開発を行うときは、要件定義やスケジュールの面などで開発の壁にぶち当たるでしょう。これは後ほど詳しくお話しします。

企画の壁の具体的な対策

企画の壁で「アイデアが枯渇している」「ブレストの進め方も分からない」というときは、自社の強みと外部環境の分析が必要です。前回お話しした、バリュープロポジションの分析も有効です。

失敗を恐れて企画が進まないケースも多いでしょう。たとえば勝率が5割、7割、9割の3つのアイデアがあるとき、9割を目指すとなかなか進みません。私の感覚値ですが、7割の勝率を目指すのがよいのではないでしょうか。

DX部署が2人だけなどのケースでは、視野が狭くなるリスクを避けるため、ヒアリングを重ねて仮説検証を行いましょう。
しかし抽象的な顧客ヒアリングではいけません。ヒアリングシートなどを作成し、具体的な意見が集まるように進めてください。

おすすめは決裁者へのヒアリングです。「このサービスにお金を出せますか?」と聞き、企画の壁を破るのに役立てます。

手段が目的化したり、収益性が低い企画が進むという悪いケースも見受けられるので、注意が必要です。

組織の壁の具体的な対策

企画後の検証実行では、合意形成も大切です。戦略と実行は表裏一体なので、特にトップダウンの企画のときは心理的安全性を高める必要もあるでしょう。

正直なところ、モチベーションが高い人でないとDXはなかなか進まないでしょう。「今のままでうまく回っているじゃないか」という意見に振り回されると、忙しいけど利益は上がらないという悪循環から抜け出せません。

組織の壁の、2つの失敗例をあげておきましょう。

①非協力的 
②持続的取り組みの欠如

特に①が顕著だと感じています。
たとえば以下のようなやり取りがあったとします。

Aさん「こういったことを導入したいので、手伝って欲しい」 
Bさん「メインの仕事が忙しいから、追加依頼は後にしてくれ!」

Bさんは「今うまく回っているのだから、変える必要はないじゃないか」と思っています。結果、改革が進まず、忙しい割に売上も利益も上がらない…という生産性の低い状況が生まれてしまいます。

実証フェーズには、Bさんのような人がたくさんいます。また運良く成功例ができても、継続できないケースも見受けられます。1回は成功するものの、そこでDXが止まってしまうことも多いのではないでしょうか。

開発の壁の具体的な対策

開発の壁は、開発リソース不足が多いと推測できます。

開発組織を内製化したいがナレッジが存在しないときは、内製化支援もしてくれるパートナー探しも重要です。

ただし内製化は売上低下につながるため、嫌がるパートナーがいるのも事実です。

開発で失敗しないためには、2つのポイントを念頭に置いていたきたいと考えています。


ポイント① リリースしてからが本番であることを忘れない
リリースしたら勝手に売れて、コスト削減できるわけではない
・リリース後の運用、運用体制が最も重要
・継続的な改善をして初めて、より良いものができ上がる

ポイント② 丸投げしない
外部パートナーにすべて丸投げをしながらもコストは抑えたいという身勝手な要求を行うと、パートナーが離れる


特に、外部に丸投げしていないかは注意してください。「アレもコレもやって、でも安くして」という要求を出す企業さんがいますが、エンジニア組織にはそのスタイルははまりません。

ちなみにK.S.ロジャースは内製化には賛成で、採用面接やCTO採用もサポートしています。DXが成功すると新しい流れができますから、また関わらせていただければというスタンスです。

PoCの進め方

ここからは、攻めのDXにおけるPoCについてです。PoCを始める前に、以下の4つのステップを踏み、3と4のサイクルを高速で回していきます。

上記の準備ができたら、基本的な7つのステップに進みます。

3はユーザー課題を見つけ出す「CPF」。
4で課題解決するのが「PSF」です。

課題解決に対する手法が決まったらプロトタイプ開発を進めます。その結果PMFとして市場に受け入れられ、ここで初めて事業がスケールします。

PoCの範囲は明確ではありません。個人の意見ですが、3~5の範囲ではないかと思っています。特に4を超えることが大切で、ユーザーが抱えている課題が主観でしかなく、あとあとヒアリングで分かるというケースも多いため、検証を怠らないようにしましょう。

2つの開発手法をDXでどう使い分けるか

開発手法は、大きくウオーターフォールとアジャイルの2つに分かれます。

アジャイルでは0~20%でリリースを繰り返し、小さなサイクルを回します。弊社はアジャイル開発を取ることが多くありますが、長くても初回リリースまで半年と決めています。マイナー調整のときは2週間~1か月でマイルストーンを切ります。

ウオーターフォールでは、0~100までの計画を立てきり、計画的に進めます。デメリットはリリースまで1~2年かかることで、その間に市場が変わってしまうことが懸念されます。

2つの開発手法 メリットデメリット

最近、特に若いエンジニアにはアジャイルが人気ですが、使い分けが必要だと思っています。アジャイル開発ではメンバー全員にある程度のスキルが求められますし、若手にはプロジェクトを回す経験が不足している人がいるのも事実です。

そしてアジャイルでは、決定が不要な訳ではありません。短期サイクルで決断を繰り返さなければ、プロジェクトは崩壊します。

初期のDXでは「守り人材」から採用することが多いと思いますが、一方で攻めの意識も持っておかなければ指向性が偏ります。中長期的には、両方の人材が必要になるでしょう。

さらに開発後の運用や検証、PMFまでを進める事業チームも編成しないといけません。

パートナー選定の難しさ

最後はパートナー選びについてです。業界知見、スピード、ノウハウの3つの観点からリスクを見ていきましょう。

業界知見
P業界知識をキャッチアップして一緒にPDCAを回せるパートナーでないとDXは困難です。経営陣とギャップを埋めるためのコミュニケーションも大切です。

スピード
ビジネスサイド、たとえば営業メンバーからいかに顧客の声を吸い上げパートナーに渡せるかも、スピードを大きく左右します。

ノウハウ
残念ながら、悪質なパートナーもゼロではありません。ノウハウを独自化し、内製化を阻むようなケースも散見されます。そのようなパートナーにロックインされると、後戻りできずコストかさむこともあるでしょう。

どう解決すべきか

まず業界知見に関しては、キャッチアップには時間がかかるものという理解を示してください。

スピードとノウハウは、パートナー選びを失敗しないことが大切です。ウオーターフォールの経験しかないパートナーがアジャイルで進めるときは、時間がかかって当然です。「パートナーが勝手に進めてくれるもの」という思い込みも、スピードを遅らせる原因になります。また小さな作業に多額の報酬を要求されるという事例もあるので、パートナー選びには気を付けましょう。

まとめ

今回は、DXには「企画」「組織」「開発」の3つの壁が存在することをお伝えしました。また開発手法には「ウォーターフォール」「アジャイル」がること、使い分けと両立が重要なことも、お話ししました。

 片方だけにマインドを寄せすぎず、柔軟に使い分けていきましょう。
今日の内容が、社内の体制づくりのお役に立てば幸いです。


▼次回のイベント情報
4/20(水)17:00~18:00【KPIマネジメントの本質を観る!入門編】エンジニア組織も導入するKPIマネジメント

「KPIマネジメントのプロ」である株式会社ビーワンカレッジ代表取締役 広瀬様と「KPIマネジメント」をシステム開発現場に落とし込み飛躍的な成長を遂げているK.S.ロジャース株式会社 代表取締役民輪により、開発におけるKPIの“適切な設定”と運用方法、KPIマネジメントの壁や失敗例から考える成功のヒントについて語ります。
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