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DXの壁どうやって進めますか?「非IT企業でもできるDXのススメ方」中級編vol.1が開催されました!

昨年秋に好評を呼んだイベント「非IT企業でもできるDXのススメ方」の中級編vol.1が開催! 
今回も神戸市が開設したコミュニティスペース「ANCHOR KOBE」にて、K.S.ロジャース代表の民輪がじっくりお話をさせていただきました。

本記事では、セミナーの内容を踏まえ、DXを推進したい企業さまに向けて「何から着すべきか」をお伝えします。

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◾️ANCHOR KOBE
神戸市が開設し、株式会社神戸新聞社と有限責任監査法人トーマツが運営元となり、スタートアップ、企業、大学、研究者、市民が、自らのアイデアや想いを、多様な人々とともにカタチにし、イノベーションを創発するコミュニティスペース。
スタートアップや企業の関係者、学生らに参加を呼び掛け、社会・企業の課題解決、即戦力となる人材の育成、会員企業での学生インターンシップ(就業体験)、情報発信支援、国内外の施設との連携等に取り組む。

◾️民輪一博(株式会社K.S.ロジャース 代表取締役社長)
エンジニア出身の起業家。コロナ以前からリモートワーク・フルフレックスのK.S.ロジャース株式会社を立ち上げ、副業・業務委託・正社員と多様なワークスタイルのエンジニアを組織化してきた。
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イベントは民輪による「そもそもDXとは?」の復習から始まりました。
中級編ということですが、定義を理解していなければ施策が間違った方向へ進んでしまいます。

経産省は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 と定義しています。

それに続き、民輪なりの定義をお話いたしました。

DXとは「データやデジタル技術を活用して顧客への提供価値を向上させ、その結果売り上げにつながること」が大切で、その目的に合わせた組織作りと開発を求められます。

DX、どこから手を付けるべきか

まずは、着手フローについてです。
DXには5つのレベルがあります。

Lv1.  ペーパーレス
Lv2. コミュニケーションのデジタイズ
Lv3. 業務のクラウド化
Lv4. ビジネスのデータ化
Lv5. ITによる価値の創出

この5つにレベル分けされますが、このフローを理解して進めるのはなかなか難しく、レベル1か2の企業が多いのが現状ではないでしょうか。海外は進んでいるという話も聞きますが、意外とそうでもありません。Lv4や5の成功例は目立つため情報が多く目に着きます。実際には日本企業と同じところで足踏みをしている企業も多くあります。

ただし「DX」という単語に過敏な割に進んでいない現状は確かです。まずは正しくステップを踏んでいく必要がありそうです。

DXの分類

DXには、守りと攻めの2種類があり、当然ながらアプローチ方法が変わっていきます。

先ほどのレベル分けでは、ざっくりですが、レベル1から3が守りで4と5が攻めと分類されるのではないでしょうか。

守りは切り口や方法がわかりやすいでしょう。逆に攻めは新規のチャレンジが必要で、時間もコストもかかる上に、成功するかも未知数です。

だからまずは守りから着手しましょう。DXというと攻めの施策のイメージが強く、興味を持つ企業が多いですが、現実的に考えると守りから始める方がいいですね。

DXの本質には「試行錯誤」があります。知見の蓄積も重要なので、大きい施策だけに目を向けず、すばやく小さく試して失敗を重ねることも必要です。

攻めのDXのアプローチについて解説

とはいえ攻めていきたいと思う企業は、失敗ありきで「とにかく顧客に当ててみる」がよいでしょう。投資を一気に行って失敗するパターンも散見されますから、分担投資がおすすめです。

たとえ失敗したとしても社内にノウハウが溜まるので、怖がらずに遂行してみましょう。

守りのDXで社内に成功体験を

多くの企業さんは、守りから固めていくスタイルになると思います。こちらはリスクが少なく、実務に効果が出始めると社内にも「できそうだな」という雰囲気が生まれ、進めやすくなります。ひとつ成功したら、他部署にも波及させていくとよいですね。

失敗も大切と語ってきましたが、DX導入初期は成功体験がカギになります。

既存業務の整理などがうまくいけば潜在的なリスクも発見でき、思わぬメリットが生まれる可能性もありますよ。

どういう組織体制で始める?

よく質問を受けるのが、組織体制についてです。

これは難しい問題ですね。まず立ちはだかる壁は「忙しいのに…」という現場の声に対する調整ではないでしょうか。ご苦労が多いかと思いますが、会社全体を巻き込む必要があります。

DXの進め方パターンは2つあります。自社がどちらに向いているのかを考えてみてください。

パターン1
現在所属している部署のまま、DX推進のロールとして進める
(守りのDX向き)

メリット
● 小さく始められる
● 当事者意識があり、前提知識を理解している(業務や実務課題)
● 仲間が集めやすい
デメリット
● 日々の業務に追われてDXの進捗が進まない

パターン2
独立したDX推進の専門部署を立ち上げる方法
(新規事業・攻めのDX向き)

メリット
● DX推進を主務として立ち上げるため、リソース・責任が明確
● 組織を横断して会社にとって質䛾高い課題に向き合うことができる
デメリット
● コストが高い(DXに対する知見、説得能力、交渉力、実行力、課題解決能力の高い人材が必要 )
● 社内がサイロ化している場合、部署外䛾協力者を説得できない、進まない (進行の障壁となる課題は会社全体の取り組みとして経営者に理解してもらう必要がある)

弊社が支援している企業もこの2パターンに分かれます。

守りのDXの進め方

まずは守りのDXから、詳しい進め方をみていきましょう。

ステップは6つです。

  1. 課題の洗い出し

  2. 課題を明確にする、定量化する

  3. 課題解決の方法を検討する

  4. 達成基準を明確にする、コストを見積もる

  5. 課題を選定する

  6. 実行する

DXは数字での議論が大切です。どの企業も抽象的な課題を多く持ちますが、きちんと数字で検討すれば意外と解決策は見つかるものです。

「どこまでできたら達成」という基準も、コスト試算とともに明確にしましょう。課題選定ではマッピングも有効です。可視化して軌道修正しながら柔軟に実行していくことをおすすめします。

DXではクラウドサービスの活用は必須です。弊社でも20種類は使っていると思います。活用時は管理コストも意識してください。最近はクラウドを管理するためのクラウドなんかも出始めています。

実行が進んだら知見を蓄積して社内共有を。DXは部署単位ではなく会社全体の話です。重要なのは業務のIT化ではなく会社風土の醸成。最適化できる業務が増えればいいですね。

攻めのDXの進め方


次は攻めのDXパターンです。こちらの目的は主に新規事業をつくることです。これには既存ビジネスの向上と、新規ビジネスの創出の2つがあります。

既存ビジネスの向上ではデータ活用が肝になるでしょう。

新規ビジネスの創出にはさまざまな方法論がありますが、アイデアを出して弾を打っていく必要があります。数だけではなく弾の質も重要です。データ分析はあくまで弾を生み出すためなので、数字に固執せず柔軟に進めましょう。

攻めに出るときは、自社のバリュープロポジション、優位性を意識します。競合他社とかぶっている部分と、顧客の求めている部分の見極めが大切ですね。

DX推進にぶつかる社内政治

最後は社内政治についてです。答えはありませんから、長期戦を覚悟して仲間をつくらないといけません。駆け引きやキーパーソンの選定も必要ですね。

DX推進のための部署があるなら「任せておけばうまくいく」という空気をつくる。そしてDXは目的ではなく手段であることを共通認識にできれば、進み始めるのではないでしょうか。

経営層の巻き込みは必須ですよ。コストと時間をどれだけ使えるかは、上層部の理解と決定次第です。

現場の説得では「仕事がなくなるのではないか」という不安を払拭しましょう。生産性向上につながることを理解してもらい、今は忙しいけど楽になりますよ、と伝えていきます。若手を巻き込む方が早いでしょうね。変化にポジティブな人が多いと思います。

質疑応答

Q:上層部を説得するのに苦労しています。味方にするための具体的な策はありませんか?
A:なんとなく必要と思っているけど反対する人には「あなたはこの部分の責任を取ってください」と任せてみます。結果「それなら任せる」もしくは「一緒にやってほしい」といわせれば勝ちではないでしょうか。
Q:資料提出くらいしかできていないのですが…
A:担当者が強気に出て、あえて突き放してみては? 放置すると進まなくなるので、上司にも危機感が生まれるはずです。仲間を増やすことも考えてください。

Q:外部委託でいかに成功確率を高めていくか。事業者側のマネジメントで工夫ができることは?
A:完遂責任を負ってくれる相手と組むことですね。アジャイルで回して、小さいサイクルで責任範囲を決めるのもおすすめです。

Q:DXに失敗する組織の特徴は?
A:失敗しがちなのは「1年で結果出せ」というパターンです。
そもそもスタートラインに立つまで1年はかかるイメージが強いです。初年度にまずはそこへの投資が必要ですが、担当者に丸投げしてお金も出さないパターンもあり、そういった組織では厳しいでしょうね。
また経営者が「とりあえずAI的なことで何かやって」というパターンも無理があります。それは手段でしかありません。一歩目を失敗すると「無理だよね」という雰囲気が生まれてしまうため注意も必要です。

まとめ

今日は攻めのDX、守りのDXにパターンを分けて、具体的な進め方と注意点をお伝えしました。

DXには時間がかかることは、皆さんご承知かと思います。自社のパターンはどちらに当たるのかをきちんと見極めて、小さな失敗を重ねながらノウハウを蓄積していきましょう。

今日の内容を参考に、社内の雰囲気作りを進めてください。今後もK.S.ロジャースでお手伝いできることがあれば幸いです。

▼初級編のイベントレポートはこちら




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