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七夕のささやかな願い。

最寄駅に笹がある。

七夕用に数日前から置かれていたようだった。

私もコロナの終息を祈ろりたいと思い、近づくとすでに短冊は売り切れていた。例年よりなんだか今年は売り切れるのが早いようだ。

仕方ないから、顔も知らない誰かの願いを軽く、時々まじまじと眺めていた。

小さい子らしきかわいい願いから、内定が欲しいという切実なものまで、願いは様々だった。

共感するもの、クスッとするもの、胸がいっぱいになるもの。

願いというより決意を示している人も多く、決断できずにいる人にとってここで宣言するのは大きな意味があるのかもしれないと思った。



どれだけ立ち尽くしていたかわからない。


ただ、しばらく眺めていたら、いつのまにか視界が滲んでいた。




こんなに人の心に触れたのはいつぶりだろう。短冊一枚一枚の裏で、がんばる人の姿が次々と浮かんだ。

それぞれの葛藤があって、それぞれの期待があって、それぞれの努力があって、一枚一枚の裏に人生がある。その笹は、なんとか前を向いて強く生きようとするエネルギーに溢れていた。それを分かった上で見上げた笹は、まるで魂の結晶のようだった。

〜・〜・〜・〜

どうか、この人たちみんなの願いが報われますように。

コロナで虚しい日々を送る全員にエールを。

きっともう直ぐ楽しい日々は帰ってくるから。

そう一番願いたいのは、自分なのかもしれない。



ポーカーフェイスなK

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