署名簿発送作業を科学する 発送ミスを無くすために(超おおざっぱ)

はじめに

愛知県知事リコール活動において、受任者として応募した方へ署名簿が届かなかった、間違った記載だった、等の書き込みがネット上で見られます。事務局の事務能力不備の可能性も十分ありえあすが、今回は生産工学的な視点で、この手のミスを事前に防ぐためにどうしたらいいか、私見を記載します。

今回は陰謀だとか不可解だとかの要素少な目。
いたって専門的で真面目なお話です。

なお、文中にFTAFMEAなどの手法を使っています。片手間で記載したものなので、超おおざっぱです(苦笑)。興味を持った方は、ググってみて、自分で勉強してみてください。日常生活での作業ミス防止にも、ロジカルに考えるという点では参考になりますよ(笑)。

作業フローを考える

まず最初にやることは、作業フローを考える事です。
下に表とイラストで記載してみました。本当はもっと細かく、且つ登場人物(だれがやる、人が変わる、複数でやる、など)も入れた方が、後述のFTA、FMEA解析時に役立ちます。

作業フロー

FTA的アプローチ:エラーの根源を見つける

まず1つ目の手法として、FTA(Fault Tree Analysis)(故障の木解析)から使ってみましょう。

これは、本来は製品の故障や原因分析に用いたりするものですが、定量的な故障発生頻度分析を取るためにも使用できます。具体的方法を記載します。
(私の経験で書いてるので超おおざっぱ。詳細は教科書等調べてね)

①左端の上位事象として、「発生させたくない事象」を書く
②その事象が生まれる原因的なものを、右側に書いて線でつなぐ。
 その際、複数事象の場合、それが「and」か「or」かで記号を変える
③もう分解する必要がないところまで行ったら、一旦終了
 その事象を防ぐための方策を個別に考える
④事象に個別確率をのっけて、orは足し算、andは掛け算で上位に向かって積算していく。その値が、最上位エラーの発生確率となる。
⑤その計算過程で、影響を大きくしている部分を見つけて、そこから潰すというのも有

今回えいやっと作りました。

画像2

えいやすぎて、すべて「or」ゲートで組んでしまったため、単純に各事象確率の足し算が、最上位の不具合確率になりました。
これがandがあると、個別作業の発生確率に寄らない影響度が出てきて面白いです。

A作業のミス(10%)とB作業のミス(5%)が同時に重なった場合か、C作業ミス(3%)をした場合かに、不具合が生じる。
 ⇒不具合発生確率=(0.1×0.05)+(0.03)=0.035
  ⇒10%ミスのA作業や5%ミスのB作業より、3%ミスのC作業の方が影響大きい

これが、発生確率に基づき「何を改善すべきか」を見出す手法になります。

FMEA的アプローチ:影響や流出検出を評価する

次に、別のアプローチとしてFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)によるものをしてみたいと思います。
こちらも、具体的方法を記載します。
(私の経験で書いてるので超おおざっぱ。詳細は教科書等調べてね)

①作業プロセスを設定する
②その作業における間違い、エラー内容を記載する
③そのエラーの発生しやすさ(作業の難しさ)を点数付けします
④そのエラーによる影響度を点数付けします
⑤そのエラーの検出しにくさ(気づきにくさ)を点数付けします
⑥最後に、発生しやすさ、影響度、検出の点数を掛け算or足し算で評価
 (私は掛け算が多いかなー)
⑦その評価値で、数字の高いところから対処する。
 対処方法は、作業改善だけでなく、影響を下げる、検出できるようにする等、さらには、「作業を無くす」が究極

今回、一部作業(入力、封筒袋詰め)だけですが、えいやっと作りました

画像3

評点の付け方、重みづけは適当です。個人情報保護や種々の視点で変更すべきです。
今回、この評価では、入力忘れはだれも気付かず、一番やばいなー、だとか、違う人に送付するのは、個人情報保護的にまずいなー とかが見えてきます。
一方で、本人の記載事項間違い防止は、最悪当人から連絡くるから後回し、というのも取捨選択としては一つの考え方。
これで、対策を打つべき作業を絞り込み、さらにその作業について、エラーモードを下げる(簡単にする)のか、影響を小さくするのか、気づきを容易にするのか、のどれが効果的かを考察できます。
ここから、また当該作業についてFTAを行いなおすのもいいかもしれません。

ちなみに、「封筒ラベル記載者と署名簿の入れ間違い」についてですが、例えば「窓付き封筒にして、署名簿印刷記載の住所氏名で郵便が届くようにする」=「ラベルを封筒に張る作業をやめる」にすると、当該エラーそのものが「ゼロ」になります。エラー防止の目指す方法「作業そのものを無くす」の一例です。

最後に

以下は個人的な考えです。

日本では、「お客様は神様です」の言葉のみが浸透しすぎ、ある種のエラーやミスが発生すると、被害を被った側は殊更に「何してるんだ!」「まじめにやれ!」などという人も少なくないと思います(会社の中の業務でもそう)。
悪意をもって行った場合は論外ですが、多くの場合、人はミスしたくてミスしているわけではない、間違えたくて間違えているわけではないと思います。(ちなみに、上記のFTA、FMEA的アプローチも、悪意は例外)

・人の「善意」の元でいろいろな産業、サービスは成り立っている
・けれどだれもが「ミス」をする可能性はある
・「ミス」単体をつぶすだけでなく、検出方法の構築、影響度の縮小化など、発生した「ミス」による「不利益」を小さくする出にくくする、そもそも発生させないという考え方も必要

上記が私の考え方です。

今回のnoteが、真に仕事や仕組みをよくしたいと思う方の参考になれば幸いです。

<蛇足>
・ミスや責任追及ばかりして、具体的対策になると口をつぐんだり、「第三者委員会」「有識者検証」など、一見それっぽいがよく考えるとよくわからない対策をいう方々はたまに居ます(うちの会社には結構上層部にいる…)。
・そんな人達って、以下パターンかな、と思ってしまっています…
 ①相手の責任を声高にいって、相手を蔑む事が目的
 ②不具合箇所をことさら指摘し、自分は利口だぞ感を出す事が目的
 ③純粋になんとかしたいと思うものの、自分での具体的な対策方法が考えられないだけ
 ④その他…何かあるかな・・・

①と②が一番厄介です。
(ぶっちゃげ、国会論戦を見ていると、①と②の人が多い気もしますw。また、マスコミの取り上げ方も①と②が多いような…。③の人ももちろん居るけどね)

今回はこれぐらいで

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