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スーパーでの戦い、再び

「魚、魚、魚を食べると〜♪」って、昔、どこの魚売り場でも流れてたけど、今はもう流してないんだな。

そう思ったのは、なんだか、どこのスーパーに行っても、その店の独自のテーマソング(?)、「今日も元気に、明るい、太陽家族〜♪ ラララ」みたいなのばっかりで、ふと「お魚天国」のあの曲すら懐かしく思ったから。

そして懐かしく思ってるうちは良かったんだけど、馴染みのお店では毎度毎度同じ音楽で飽きてもくるし、しかも、結構な音量で流れてるから、スーパー出た後もガンガン頭で鳴り続ける。そんで、次入った店で、またその店のテーマ曲が延々流されてるから、だんだんイライラしてきて、ついには買い物に出かける時は、イヤホンつけて音楽聴くようになってしまった。

前から不思議だったんだけど、日本ってどのお店行っても音が流れてる。カナダだとそれはない。精肉売り場とかでの、「はい、毎週金曜日はお肉の日〜」みたいな宣伝文句も流れない。淡々と、ポップとかで、『SALE』とか書いてあるだけ。

それに慣れちゃってるからか、あの延々と繰り返される音楽や、がなり宣伝文句にまるっきり免疫が無くなっちゃって、気になって気になってしょうがない。

私なんか、買い物してる間だけだからいいけど、あれ、売り場で働いてる人とかって、どうしてるんだろう? もう麻痺して心から無視できるのだろうか?

昭和の時代は、『有線』とかで、流行りの歌謡曲とかがランダムに流れてた店も多かった。でも今は著作権の関係なのか、街で流行りの歌を聴くこともなくなってしまった。だから著作権に引っかからない自作の音楽を垂れ流してるのかな?と思っている。

だったら、いっそ、『音を垂れ流さない』という選択はないのだろうか?

慣れてしまえば、『音無し』ショッピング、落ち着いてできるし、店員さんとのやりとりも大声出さなくて済むからスムーズだし、私は好きなんだけど。

店員さんとのやりとりといえば、前回の帰国の時の練習で使えるようにはなったとはいえ、私は日本の複雑で、しかも店舗ごとに微妙に仕様が違うあのセルフレジが苦手だ。だから有人のレジが空いていたら、そっちに並ぶことにしてる。

そして今回気づいたのは、レジのおばちゃんが、刺身とかの食品トレイには、保護のためだろうけど、あの薄手のシャカシャカするビニール袋にいちいち入れてくるってことだ。

滞在しているオババの家に、ビニール袋と、この薄手のシャカシャカ袋がきれいに畳まれて山ほど保管してあったのは、これだったのか、と思いつつ、これ以上、袋ストックを増やしたくない私は、このさらなる袋づめを断っていた。しかし、有能なレジのおばちゃんは、この袋入れ作業がめちゃ早い。私が、「えっと、このスーパーの支払いのパターンはどうだったっけかな?」なんて、辺りを見渡してるうちに、トレイたちは各々しっかり袋づめされている。

しまった、と思っても、さすがにすでに袋詰めされたものをとってくださいと言う勇気はない。

だから、レジに立つ私は、支払いが支払機に移動するパターンなのか、その場で支払うパターンなのかを見極め、その場で支払う場合は、カードを自分で機械に差し込むのか、おばちゃんに手渡すのか、などをすばやく察知しつつ、レジのおばちゃんがシャカシャカ袋に手を出す瞬間を押さえて、「あ、そのままで大丈夫です!」と宣言する、というマルチタスクの鬼となって毎度仁王立ちしていた。

まあ結果としては、7対3くらいの割合ででおばちゃんの勝ちだったけど。

そして、家に帰ってまた驚くのは、まあ、ゴミが出ること、出ること。

カナダで野菜は、山積みになってるとこから必要な分だけ持ってくシステムで、お肉もトレイに固まりでドンっと入ってるし、魚もでかい切り身とかが一枚入ってて、みんな、家でお好きなようにぶった斬って料理してね、という仕様だから、ゴミはそんなに出ない。

お菓子の類も、でかい箱の中にそのままか、せいぜい薄いビニール袋に入ってるくらいで、形が崩れないように小分けのプラスチックトレイがあったりとかしない。だから、夕飯作るだけで、かなりの細々したゴミが出るのに本当にびっくりした。

昔、東京で働いてた時、瓶の醤油かなんかを買って、スポンジみたいな緩衝材で包まれて、さらに茶色の袋にも入れようとされて、「けっこうです」って断ったのに、「途中で割れるといけませんから」って、強引に梱包されたことがある。

「買った後に、何かあってももうそれは私の責任だから、いいのに......」と、思ったけど、まあ、世の中クレーム好きの人もいるみたいだから、それも仕方ないのか。

「こうなったら、サザエさんの買い物かごみたいなのが最強なのかも」とか、思いながら、この先絶対使う事はないだろうに、結局、私もシャカシャカ袋をギュッと縛って、山盛りになってるストック用の箱に放り込んだ。

〜終わり