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カナダ的「太りたいなら、これを食え」がエグい

もう辞めたんだけど、以前勤めていた会社のボスとはいまだに交流が続いている。

ITの会社にありがちで、しょっちゅうオーナーが変わって、その度に、会社のロゴが変更され、人員削減され、勤務形態が変わって、と、社員はいつも翻弄される。まあ、その荒波を乗り越えて、残った社員同士は結束が固まる、ってとこは確かにあるんだけれど。

で、今、現在、元々アメリカに本社があったその会社は、また新しい会社になり、カナダ部門がカナダの会社に吸収合併され、リモートワークに移行していたボスだけが、アメリカの新会社に残った、という経緯がある。

この元ボス、リモートで寂しいせいなのか、けっこうメッセージが届く。

彼は、高校生の時の同級生と結婚して、二人とも育った環境が二人にとってあまり好ましいものではなかったので、子供なしの人生を選択したらしい。

このカップルが、なんとも素敵なんだ。

このボスは、お兄ちゃんとの二人兄弟、カナダなのに高校時代はアメフトに没頭して、卒業後は電気関係の専門学校に入って、それ以来ずっと、いわゆる男所帯の会社ばかり渡り歩いていた。

ボスと奥さんは、お互いに高校時代に存在は知っていたけど、特に親しいわけでもなく、卒業してから何かのタイミングで会って、それからしばらくして結婚して、もう、かれこれ10年以上ラブラブが続いているという、それはもう素敵なカップル。

しかも、このボス、過去の話を聞いても、どうにもこうにもガキ大将気質なのに、奥さんときたら、読書好きの委員長タイプで、今も精神疾患の人たちの心のケアとかをする仕事についている心穏やかな人。しかも、白い肌にストレートの長い髪、挙句に黒ぶちメガネっていう、ベタな昭和のアニメでしかみたことないめちゃかわいらしいルックス。

ガキ大将と委員長の結婚が、こんなに身近に存在していたとは。

で、そのボスに、「息子が痩せすぎで入院しちゃったんだよ」とメッセージを送ったら、

「昔、アメフトのオフェンス・ラインマンで、体をでかくしなくちゃいけなかった俺から、アドバイスをあげよう」

と、返信が。

「まず、とにかく目に映る、美味しそうなものを片っ端から食べる。クッキー、ホットドッグ、ハンバーガー、ワッフルで挟んだアイスクリーム」
「あと、ポテトフライ、ピーナッツバターとバナナのサンドイッチ、あ、それにベーコンを入れてもいい。あと、激甘シリアルもかなり太れる。これ、ぜんぶ、実体験に基づいてるから、信じていいよ」

と、読んでるだけで胸焼けしそうなメニューがずらり。

うちの息子は、日本食ならなんでもいい、甘いものはひとつあればいい、っていう人間だから、何ひとつヒットしそうにないけれど、気持ちはありがたくいただいておいた。

こんなボスだけど、かなりなグルメで、このハイカロリーリストのメッセージの直後に、
「そういや、この間、日本の食材扱うスーパーに言って、昆布を買ってきて、味噌汁を作ってみたら、めちゃくちゃ美味しくできたんだ」
などと、言ってきたりもする。

なんかもう高低差でキーンとなる。