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暗闇に落ちている宝石
ある人が暗闇の中を歩いていると
何らかのものに触れ、傷を負った。
その人は
きっと毒蛇に咬まれたに違いないと考えた。
そうだとすると毒が体中に回って
まもなく死んでしまう。
すぐさま良医に診てもらったが
医者は毒蛇による傷だということを疑った。
そして、医者は
傷を作った場所を確認しに行った。
灯りによって照らしてみると
そこには鋭利な形の宝石があり
それに血塗りが付いているのを確認した。
すなわち、その医者は
傷の原因が蛇に咬まれたことではなく
鋭利な形の宝石に触れたことにあった
ということに気づいたのである。
その結果として医者は
高価な宝石を手に入れ
大喜びすることとなったのである。
これは『大日経』という経典の
注釈書として中国で著された『大日経疏』という
書物にある内容であります。
これに続いて、
これと同じように
修行者は正しい智慧によって
物事を把握することが大事である
と述べられています。
暗闇を照らす明かりのように
目に見えていないものを
しっかりと見ることが大切である
という教えであります。
修行者としては
なかなか自覚できない煩悩をしっかりと見て
それを除いていく努力が必要です。
修行者でない場合であっても
暗闇を明かりで照らすように
普段気づいていないものを
観察することが大事であるという教えととれます。
家族がいることの有難さ
人とのつながりの大切さ
そういった自覚しづらいものにも
意識を向けてみる習慣が大切なのだと
感じます。
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