“eスポーツ”なんて信じてない。
PACAO杯が終わった。
一晩たった今、飯食ってトイレ行って仕事しても、どこか心の奥に高揚感が残っている。昨晩なんかはずーっと、嬉しさや悔しさが入り混じったなんとも形容しがたい感情が渦巻くせいで、大会のことやチームのことを思い返しては泣きそうになることを繰り返して、3時過ぎまで寝ることができなかった。
「スプラトゥーン?イカになって塗りあうなんか人気なゲームだっけ?」
最初はその程度の認識でしかなかった。友人が目の前で起動してみても、あまり興味を持てそうにないなって、正直なところ思って気にしていなかった。
転機が訪れたのは、今年3月。私が大好きなバンドのメンバーが、PACAOという名で、YouTubeにてスプラトゥーン2の実況動画を上げ始めたらしい。そんな報せをぶん投げてくれたのは、確かファミ通さんのこの記事だった気がする。
まさかこんなところで個人的な活動を見ることができるなんて思ってもいなかったから、とにかく、すでに更新されていた動画は見まくった。Twitterも遡りまくった。
でも、私は何も知らない。何も知らないから、普段ステージ上で激しく、繊細に、心の底から「めっちゃきもちい〜〜〜!!」みたいな顔でドラムを叩く彼とは一切かけ離れているような、知らない単語が飛び交う情報を目の当たりにして、衝撃を受けたことを今でもはっきりと覚えている。
それからは、彼が見ている世界を、私も見てみたいの一心で改めて動画と向き合い、どんどん魅了されていった。(今思えば、2017年のツアーで幕張を訪れた際にも、「隣で大会やってるから本当は俺もそっち行きたかった」なんていってたなぁ。その時はこんなにハマってるもんだとは思ってもなかった。)
そのおかげで心の底から頭のてっぺん、つま先までスプラトゥーン2のインクに染め上げられてしまって、キルされる寸前だったけど、私はSwitchを持っていなかった。
けれども、運よくあつ森仕様のSwitchを予約し、それを受け取った日に、冒頭の友人からスプラトゥーン2のカセットをプレゼントしてもらった。最初あんなに興味なかったのにね。そのことに関しては申し訳なさもあったけど、そのおかげでスタートラインに立つことができたから、マジ感謝ということで。
そして、もろもろすっ飛ばして、今はあつ森<スプラ という日々になっている。(間にfit boxingが挟まるけど。)
それが当たり前になりかけた頃「大会をやります」とPACAO氏がいうもんで。しかも「チーム合計XPが10000以下」なんて制限も設けたエンジョイ大会。大好きで憧れまくりのバンドマン主催の大会、出ないわけがないよね、となり、友人のツテでチーム結成。
メンバーは、スプラ1はまあまあプレイしてたけど、2は買ってそのままの2名。GWの体験版から始めた1名。そしてPACAOキッズ(?)として3月から始めた私。どこからどうみても、ほぼ初心者チームが結成された。
名前としてはリーダー、代表であったけど、一番年下だし、Discordの使い方もわからないし、スプラ用語も正直わからんし、2人とはほぼ初めましてだしで、どこまで出しゃばっていいのかわからなくて少し困ってたりもした。
でもね、同じゲームの同じ大会で楽しみたい、そして勝ちたいって思いで集まってくれたおかげで、練習するのがすごく楽しかった。初心者の割にはウチら最強なのでは!?って思ったりもした。(井の中の蛙で恥ずかしい。)
とはいったものの、PACAO杯Lite2の直前まで数回しか合わせることができてなくて、そのLite2ではコテンパンにされた。何あのミサイルの連打、何あの高台のローラー、何この一切自陣から出させてくれない攻め込み方は。
スプラ の世界、スゲェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そんな事実に打ちのめされて、正直PACAO杯本番に対するモチベがダダ下がりした。
ウデマエ制限ってなんやねん、エンジョイ大会ってなんやねん、相手チーム全員「*」付きやんけ。なんでその実力で合計XPが10000いってないねん!!!!!!!!!!
かなりショックだった。
でも、チームのみんなも同じように悔しさを感じていてくれた。私ばっか熱くなっちゃって、キツいこと言ってたらどうしようとか、私ばっか勝つことに執着して、みんなはもっとエンジョイしたいんじゃないか。とか色々思ってしまっていたけど、そんなことなかった。
それを機に、今までの戦い方を見直したり、ナワバリの対抗戦をしてもらった際に、とあるイカさんが観戦で私たちのプレーをみてアドバイスをくれたり(びっくりしすぎてProコンが汗でびちゃびちゃになったりした)、どう動くか目標を共有して、報告も慣れないながらやったり…本番までの数日間、短い間だったけど自分達にできることを試して、励ましあって、当日を迎えた。
そっからはもう、嵐のように過ぎていった。Lite2でも対戦したチームがいる、しかも初戦で当たる。やばすぎワロタ(わろてない)みたいな気持ちだった。チームの目標は「予選ブロックで1勝する。」あまりにもささやかすぎるけれど、この目標が私たちを後押ししてくれたことは、間違いない。
スプラトゥーン2を始める前までは、eスポーツなんて言葉は、「どんなに熱くなったって、台パンしたって、煽ったっていい」みたいな免罪符なんじゃないの?って思ってた。
でも、全く違う。浅はかすぎる偏見だった。
4人1組同士が対戦すること、そこに1つひとつの物語があって、「努力」や「挫折」なんて平易な言葉じゃ表せない道のりがあった。私たちにだって、確かにある。
普段、野良でプレイしているとあまり気づけないけど、そこに血の通った一人の人がいて、それが4人も集りゃ、なかなかの集団になる。心が通じる、一緒に悩み、考える。尽きぬトライアンドエラー。こんなに何かに熱中したのは、久しぶりだった。
バンドやアイドルを心から楽しんで、愛してやまない私だけど、そうじゃない。自分の意志で、自分を奮い立たせて仲間と目標を目指して行動をする。そんな大切な時間を、スプラトゥーン2とPACAO杯を通じて過ごすことができた。
だからこそ楽しい、だからこそ悔しい。
“e”ってつくけど、中学高校の運動部の部活と同じくらい、いや、ぶっちゃけそれ以上熱くなった。汗もめっちゃかいた。痩せそうってくらいかいた。すごいよスプラトゥーン。
そして、私たちのPACAO杯は予選Fブロック7試合中1勝6敗という結果で幕を閉じた。
タイトルの回収がイマイチではあるけど、とにかく、PACAO氏、PACAO杯の運営に携わってくださった皆様、そして対戦や練習をしてくださった全ての方々のおかげで、自粛期間の生活や、あまり価値がないと思っていた自分の人生だって、飽きることなく過ごすことができた。むしろ自分の人生すらも愛して、もっともっと生きながらえてスプラやりまくりてぇ〜〜〜〜という気持ちにすらなっている。
話でかいでしょ。すぐでかくしちゃうからね。でも本心だよ!だからこそ、関わってくださった全てのインクリングに愛と、チョコレートはあげられないから心のイカすを全力で押して、感謝の気持ちを届けたいです。本当にありがとうございます。
PACAO杯2の開催がすでに待ち遠しいし、今後もチームや、対戦してくださった方達と交流や対抗戦を続けていきたいな。上がいることの嬉しさをひたすら噛み締めてるよ。
また塗り合う日まで。
この言葉を胸にこれからもインクリングとして、イカ生を謳歌していこうじゃないの。
ヒトの姿でも、イカの姿でも、またどこかで。
FブロックシグナルIKA 代表 くりぷとん
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