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今の仕事をつづける理由。

転職=ステップアップなのか?

広告代理店というと大手の代理店をイメージする人が多いと思います。私が日々営業している中でも、メインの施策は大手の代理店が担い、私たちは彼らの提案が伸びていないところや、おろそかになっているところなどを狙いそこからの関係構築に勝機を見出すという図式になることはとても多いです。そして弊社に入ってくる新入社員の人たちも、5年以内くらいで大手への転職をしていく人が多いです。

私がこの業界をもともと志したのも、大手の代理店を想像し、広告賞を受賞するような大きな仕事を手掛けたいという想いで足を踏み込んだので、共感します。そして今でも、横目でそれを見ているような感覚はあります。

中小から大手へ転職することが挑戦、ステップアップとポジティブなニュアンスで語られることが多い昨今。今回は転職を選ばず今の仕事を続けてきたことによるポジティブな点を書きたいと思います。

最初に申し上げたいのが転職を否定したり、今の会社にしがみつけ!みたいなことを言うつもりは全くありません。ただ、今の職場で結果が出ずに迷っているけどちょっとでも頑張りたいと思っている方の参考になればいいなと思っています。

同じ歯車になるなら大きな歯車になろう

これは大学時代、ゼミの先生に言われ今も私の胸に刺さっている言葉です。会社において従業員は歯車です。色々考え方はあると思いますが、経営者でない限りこれは一つの事実。しかしその中において仕事のやりがいを見出すには、たとえ小さな仕事でも自分の影響を広い分野に与えいろんな歯車を回せるようになろう。ということを意味する言葉でした。

この言葉を胸に今思う、今の職場で続けてきた結果よかった事を書きます。

①自分のアイディアを信じられるようになる

組織の階段が少ない分、思いついた企画やアイディアをクライアントにダイレクトに提案することができます。もちろん玉砕することもありますが、それが成功した時の達成感は、どんなに落ち込んでいても立ち直れるほどの中毒性があります。そして誰の指示もなく自分でゼロからイチを作った成功体験は、要所要所で自分を信じる力につながります。

②仕事のフローが見える

ここはよくも悪くもなのですが、提案・受注・発注・納品・請求・回収までを担当するのでお金の流れや取引の仕組みを見ることができます。これは経営的な視点で会社を見ることにもつながり、一見すると安全そうに見えて取引が危険な会社など、リスクを見極める嗅覚も養われるので、意外と勉強になっているところかもしれません。

③意思決定が早く、機動力を持てる。

組織が大きい会社の方と仕事をしていると1つのことを決めるのにいろんな人の承認を得たり、案件の進捗に対して、上の人が「どうなってる?」と隣の人に聞き、その人が「どうなってる?」と隣に聞き、一番端の人が「〇〇からまだ上がってきてないんですよ。」と言う。①とも繋がりますが、私の場合は自分の仕事を最初から最後まで自分でプロデュースしているため全て答えられますし、軌道修正や代替案の提案なども機動力を持って動けるメリットはあると思います。

会社ではなく、自分という看板で勝負する。

では私は何を得たのかと考えると、答えは模索中ですが今のところこれかなぁと思っています。中小企業は大手に比べて無名です。会社の仕組みが古かったり、一人でいろんな事をしなければいけなかったりするかもしれません。私も今の会社で働き始めた時、本当にサバンナに放り出され、いきなり狩りをしている状態だと思いました。人によってはブラックだ!と感じてしまうと思います。

でも、これは中小企業ならではのメリットだと思っています。会社の看板でも、誰かの実績でもなく、自分のアイディアをそのまま、もしくはそれに近い状態の提案を、いろんな会社から提案を受けているプロに対してぶつけることができます。もちろん採用されなかったり、お門違いで赤っ恥をかくような経験もありますが、成功も失敗も全て自分の責任で受け止め、その経験を生かして次の戦略を立てる。細かな行動も含めて毎日のレベルでこれを繰り返していくので、自分を日々積み重ねて成果を出しているという感覚が身につきます。

これは何が正解かわからないほどいろんな事が起こる今の世の中で生きていく上で大事な感覚だと思っています。結果が出なくても人のせいにしない、理不尽なことがあってもただ怒る訳ではなくどこに問題があったのかを冷静に考えて、自分の糧として咀嚼できる。仕事以外でもいろんな決断をするにあたって活きていると思います。

時折クライアントに「御社だけの強みって何ですか?」と聞かれることがあり、状況によりいくつか答えを用意しているのですが時々「私です。」と冗談交じりに答えるパターンがあります。それくらい自分というものが商売の武器になってると感じられるというのは今の環境でやってきたからだと思います。

もちろん会社の根幹の考え方に対する共感があったり、上司の教えや、参考にできる先輩がいたり用意されてきたものもあるので一概に言えることではありません。

しかし、もし今明確な理由なく、目の前の壁や、表面的に感じていること、漠然とした大手志向などで転職=ステップアップと考えている人がいたら、中小企業で働くことは、自分の看板で勝負できるということ、それは会社にしがみつくという事とは逆方向の考えもあることも思い出し、自分にとっての本当のステップアップは何かを考えらきっかけになってくれたら嬉しく思います。

こんなに語っていますが私もまだまだ道の途中。もっともっと、自分の看板で勝負できるよう、日々精進していきたいと思う今日この頃です。


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