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123. イヤホンを外したら

外出時は周囲の音が聞こえる程度の音量でイヤホンをし、ラジオなどを聴いていることが多い。
歩きながら本を読むことはできないが、耳から情報を手に入れることは可能だからだ。

昨日はごく短時間の近所への外出だと決めていたので、珍しくイヤホンをしなかった。
わずかに日没時刻を経過した時間かつ住宅街なので、聞こえてきたのは車が通行する音ぐらいである。

商業施設に入ったところ、様々な館内放送が流れていた。
一度に複数の情報が流れる時もあり、すべてを処理しようと脳が忙しい。
ゲームコーナーではエアホッケーを通常と異なるようなやり方で遊んでいるらしい人がいて、「カンカンカンカン」といった音が館内と自分の耳に響いた。

スーパーマーケットに入ったところ、簡単なレシピを紹介する放送がされていたことを知ったのは収穫だった。
一方で、客引きやプロモーションのための音声がそこかしこに流れており、騒音にしか聞こえなくなってしまった。
脳と耳が非常に疲れてしまった。
買うべきものを買って、いち早くお店を去りたい気分になった。

商業施設から外に出ると、ふたたび車の通行音や風で木々の葉がこすれる音が聞こえる空間だった。
だいぶ気分が落ち着いてきた。

普段イヤホンをしているために、今回「騒音」と思ってしまった部分がうまい具合に除去されていたのかもしれない。
「騒音」には有益情報が混ざっていることも確認できたので収穫ではあったが、やはり自分にとっては脳と心をかき乱すものであった。

単純に、若干体調が悪かったために強めにそう思ったのかもしれない。
世の中には音に過敏で生きづらい人がいる。
その人たちの気分が少しだけかもしれないが分かった気がした。

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