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インフレがやってくる?

インフレの到来により、あなたのお金の価値はなくなります、という様な煽り文句って、リーマン危機(Global Financial Crisis)や今回のコロナ禍のような危機状況でよくやってきますね。2021年5月の断面でも、アメリカを中心にインフレ圧力が上昇しているのではないか、ということで市場が一寸動揺しています。

僕もリーマン危機の時には、本当にその文句に恐怖を覚えたことを記憶しています。その原因は、インフレの仕組みを全く知らなかったからです。

でも、ある程度インフレのことを知っていれば、インフレともいい関係が築けるのではないかと考えています。というより、インフレを上手く使ってあげましょう。

1 インフレとは

インフレとは、モノやサービスの価格が上って行くことです。つまりお金の価値が下がることを意味します。景気の上昇局面では、石油や銅等の原材料の価格が上昇し始めます。経済の運営に必要な原材料が景気の上昇とともに需要が増加し、需給の関係で価格が上昇し始めるためです。そうすると、原材料費を購入する必要のある事業体は、そのコスト上昇により製品やサービスの価格を値上げしようとします。この時に製品やサービスの消費者がその値上げに乗ってくれば、価格は上昇し、インフレが加速し始めます。

この時、消費者が値上げに乗ってくるかが大きなポイントになります。お金がなければ値上げされても買えませんので、結局生産者がそのコストを自分で吸収し、利益を減らすしかありません。これが景気後退に結びついていきます。僕らがその値上げに付いていくには、給与等の所得が上がるか、ローンでお金を借りるか、金融商品からの利益を活用するかが必要になります。特に所得が上がらなければ全体的な消費は上がりませんので、この雇用と賃金上昇がとても重要になるのです。(FRBが雇用の維持を使命としているのは結局この経済に重要なファクターをコントロールする必要があるからです)

マイルドなインフレは経済が好調ということですし、各国の中央銀行もいい塩梅でマイルドなインフレに経済を導こうとしています。日本はご存知のように万年デフレで低成長です。

2 インフレが進むとき

現在のアメリカを見ると、コロナワクチンの接種も進み、昨年と比べ景気の再開が念頭に置かれつつありますが、物価指数は上がりながらも雇用指数は想定外に弱い等、指標が乱れています。なのでインフレ一本やりでもないというのが現状です。

インフレが進むときは、先ほどのように原材料費が上がり始め、製品に価格転嫁が行われ、雇用が完全に近く賃金も上昇しているため消費者がその値上げに追随し、値上げが加速されていくという状況です。

3 ではアメリカのインフレは進むのか

2021年5月現在では、市場はインフレが進むことを一定織り込み、それに伴う金利上昇がグロース株の調整という形で反映されました。

こういう市場が織り込んだ想定が覆される時に儲けのチャンスがやってくるので注意が必要です。

僕は、2023年位からはコロナも落ち着いてインフレが進むと思いますが、2021年-22年では、結果としてそこまで急激にインフレは進まないのではないかと思います。FRBも指摘しているように、アメリカの雇用は低所得者を中心にまだ弱いですし、トランプ大統領下で分断されてしまったこのような低所得者層の引き上げにFRBは真剣に取り組んでいるように思います。この対応をしっかりしないと骨太の経済回復や発展が覚束ないからです。折しも米中の覇権争いの中で、アメリカは経済政策に失敗できない状況ですから、しっかりと筋力を蓄えてくると思います。

また、そもそもインフレが進むための条件である雇用がそこまでバラ色ではないため、金融緩和は2022年中盤までは続き、一旦インフレを織り込んだ相場は、落ち着いた金利とインフレ率を再度織り込むため、そこで株価はグロース株に一旦回帰、ドルは一旦弱含みし円高、とより戻すのではないかと思います。

ここからの2021年の経済情勢と相場は、毎日の上がった下がったよりも、ある程度大きな流れを見ておく必要があります。もし、雇用が想定外に強く賃金が上がるとなるとインフレも進み、金融緩和の出口も見えますので、そこでも一波乱はあると思います。

2021年も半ば、これからの動きが楽しみですね。

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