見出し画像

モデルナとバイオンテックに見る日米欧

2020年の5月頃だったでしょうか。日本は初の緊急事態宣言に入り、アメリカでもコロナが猛威を振るい始めていました。

そんな中、当時のトランプ大統領がぶち上げたのが、爆速ワクチン作戦(Operation Warp Speed ”OWS”)でした。アメリカは国家としてCovid19に対峙し、開発されたワクチンは米国が買い受けることを宣言し、政府の後ろ盾を得ながら、モデルナ、バイオンテック、ファイザー、ジョンソンエンドジョンソン等が開発を進めていきました。

1 mRNA

その中で、モデルナとバイオンテック&ファイザー連合は、mRNA技術を開発し、真っ先にレースを優位に進めていきました。自分もmRNA技術の概要を当時確認しましたが、素人目に見てもmRNAの可能性があることは分かりました。mRNAに関する記事ではないので詳細は割愛しますが、2020年5月の断面で世界を救えるのはワクチンしかない状況でしたので、僕はモデルナとバイオンテックの株を買い投資しました。勿論株価が上昇することは目に見えていましたが、自分もOWS:爆速ワクチン作戦に参加することが出来て高揚感がありました。結果として両社の株は現在でも当時の3倍以上の価格を付けています。

2 科学の力で前進する

一般的にアメリカを中心に欧米は科学の力を信じて、投資を行うことにより人間が直面する困難に対峙するというマインドを持っています。ある目標を掲げると共に、中途半端ではなく計画をやり切るのに必要な軍資金をしっかり用意して作戦に取り組みます。アポロ計画で月に行った時も、ケネディ大統領は演説で、”We choose to go to the Moon(我々は月に行くことを決めた)”、と宣言し、資源を投入して計画を達成しました。

人為をここまで信頼して挑戦し続けるということにはいろいろな側面があり、賛否両論あると思いますが、人類の英知と資源を投入して人類の幸福を拡大しようとする姿勢に僕は賛同しています。少なくとも僕にとっては、現実的に自分と自分の大切な人を守るためにワクチンを計画して作って行くことは現実的に必要なことです。

3.ワクチンの開発成功と日本

昨年の11月にモデルナとバイオンテックのワクチンの有効度が95%というニュースとともに、米国の緊急使用承認が出て、アメリカではワクチンの接種が進んで行きました。両社の株価は勿論上がりましたし、何よりも自分が投資した人類を救済しうるプロジェクトが成功したことに、投資を始めてから経験したことの無いような高揚感を覚えました。まさにハイタッチです。

ワクチンが成功したということだけを見れば、簡単に見えますが、mRNAという技術を開発し、Covid19向けのワクチン開発の日程を引き、それをこつこつとやり切った両社の技術者・研究者の努力やいかなるものだったでしょうか。彼らは約束を守り切った訳です。計画から実行し成功まで持っていくことの困難を経験したことがある人はその熾烈さを想像できることと思います。

僕は、良かった、これで自分が今住んでいる日本にも両社のワクチンが輸入されるし、場合によっては日本でライセンス生産しても良いな~、と小躍りしたものでした。

しかし、現実には開発成功から半年以上経った2021年5月の断面でも、日本では500万人程度にしか接種が進まず、人口の4%程度で、実質的に言って接種が行われていないに等しい状況になっています。

4.日本的な情緒

ワクチンの確保や、厚労省の承認、ワクチンに対する国民の一部の忌避等、いろんな要素が絡み合い、日本では現状の様になってます。

なかなか効率的には進まないものだと改めて日本の現状にはっと我に返った気がします。僕は日本で暮らすことは大好きですし、アメリカのチャレンジングスピリットにもいつも感服しています。また政府も民意を気にしながら頑張っているので批判する気にもなりません。


なので、自分は日本の良さも認めながら、科学的に動くことは実践していくしかないなと思っています。

結局ライフハックは自分事で物事を進めないと前に行かないのですね。

もし自分だったらという前提で、

・ワクチンの確保にはパワーが必要なので、首相自らモデルナやバイオンテックと交渉して予めワクチンを開発完了前から確保しておく

・アメリカのFDAからワクチン緊急承認に至ったデータの開示をお願いし、日本でも緊急使用できるかを確認する

・ワクチンも万能ではなく、副作用が出る確率と実際の症状をしっかりと公開し(客観的な数値で考える)、仮にワクチンによる障害が出た場合には国家賠償制度に基づいて補償を行うことは明示しておく

・科学の力を利用し、開発に向かう人たちに敬意を払う

ということを、自分でできることは実践したいと思います。

5.河野太郎大臣の一言

先日、各都道府県の主張がワクチン接種を受けているかの取材が行われていて、受けていないことが何となくポジティブに捉えられている様にも感じました。

危機管理の本質から言えば、指揮監督する人がダウンしては作戦を実行できないので、そのような立場の人は司令官としても胸を張って接種を行えばいいのではないかと思います。余っているものであれば猶更です。

河野太郎大臣が、ワクチンを捨てるなんて馬鹿げている、私が責任を持つので接種を進めて欲しい、と発言していました。日本で必要な管理者の態度ですね。

首長方もびくびくせずに、「直接の民意を受けている首長ですので、職務を全うできるように接種しました」と発言したらいいと思います。

そんな勇気ある行動の積み重ねでしか、前には進めないのですから。


とライフハックからは少し外れた政治的な記事になってしまいましたが、少しでも人命が救われ、人間の英知が自然の脅威に立ち向かえますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?