合同会社ナナルイを設立してからのこと
2022年6月29日に会社を設立してすぐ、どんなことを考えていたのか、ナナルイのホームページに掲載してある自分で書いたブログを読んでみました。
「7月4日、恐る恐る法務局に行ってきました。ナナルイが本当に会社になっているのか確認するために、窓口でウロウロしながら書類に記入して、収入印紙を買って、謄本をとってみたら、商号 合同会社ナナルイと書いてあってホッとしました。」
このあと数ヶ月後に、なんで会社を設立しちゃったんだろう?と思うことになるのですが、これは最後に書きます。
出版社を立ち上げたら、まずは本を書店に置いてもらうために取次会社と契約をしなければならないとわかり、書店で働いている友人に相談しました。ひとり出版社は大手の取次会社は契約してくれないからと、2つの会社を教えてもらいました。
結果、株式会社トランスビューと契約するのですが、最初に話しを伺いにいったとある取次会社さんの誠実さは一生忘れません。
「歌集をつくりたい」
「そういった歌集だと、100冊書店に流通させたら80冊くらい戻ってきてしまうでしょう。イベントで販売した方が売れますよ」
「写真集を発行する予定もあります」
「写真集は木村伊兵衛賞を受賞できても売れないでしょう」
この話しを聞いていたおかげで、夢を見たまま出版社を立ち上げ無駄な絶望をしなくてすみました。
現実をわかった上で、勉強のつもりで歌集にバーコードをつけて書店への流通を試みました。書籍の流通業務をコンピューターで処理するために付けられた数字をISBNコードと言います。
今現在、取引代行をお願いしているのは株式会社トランスビュー。
ナナルイはこの本を読んでから、トランスビューの工藤さんに会いに行きました。
契約を交わし、まずは『タテイトヨコイト』の情報をA4サイズPDFにまとめて、それをトランスビューが全国の書店にFAXをしてくれました。
するとメールが来ました。本屋さんから『タテイトヨコイト』を注文してくれたという内容のメールです。
近くにある本屋さんだったので、数日後に行ってみると本当に本棚にその歌集があったときは驚きました。
でも、能天気なわたしはこの時点で、返品があることをあまり認識していなかった!本が売れたわけではなかったのです。
後日、笑ってしまうエピソードを教えてくれた編集者さんがいました。
書店に営業に行くと、ずっと売れずに棚に残っている本を思い出させてしまい、次の日に返品があったから、営業には気をつけて!と。
編集経験のない私にも、ひとり出版社のみなさんが、分け隔てなく語ってくれるのは、本を売ることの大変さを共に分かちあえるから、だと思っています。本当に本を売るのは難しい!
新刊を発行すると、FAX用のPDFだけでなく、新刊情報を冊子にまとめたものを月に一回、トランスビューから書店に郵送しています。
冊子を袋詰めするだけでも大変なので、出版社の人たちが有志で月に一度集まり、一緒に袋詰めをしてその後楽しく語り合う場があるのです。
ここでナナルイは多くを学びました。
ある日のこと、大手の出版社で編集をされていてひとり出版社を立ち上げた方たちの会話が聞こえてきました。
個人事業主として出版社の仕事しているけど、どのようなタイミングで会社として設立したらいいかを悩んでいるお話しでした。
「えーっ!」
わたしの心の声です。タイミングもなにも、わたしはなんの深い考えもなく、株式会社より合同会社のが簡単そうだから合同会社を設立したけど、そもそも会社なんて設立しなくてもよかったのか?どうなの?よくわからない!
近くに点滅社の屋良さんがいました。
「屋良さんは、なぜ合同会社を設立したのですか?」
「何にも考えずに設立してしまった。会社を立ち上げたから決算をしなくてはならないらしいけど、決算ってどうすればいいかわからない。
屋良さんはその後『鬱の本』を発行することになるのでした。