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信頼の弾丸が僕を抉る

「ああ、そう」と僕は呟いた。

僕が2歳の時に隣の家に引っ越してきた同じく2歳だった君が、仲良くなることに、時間はかからなかった。同じくらい勉強が出来て、同じくらいスポーツが出来て、君は僕よりも数倍イケメンで、君はいつもモテていた。

高校生の時、校内で一番可愛いと言われていた女の子と付き合い、友人も多ければ先生からの評判も良い君は、ずっと他人の輪の中心だった。僕はそれを幼馴染として眺めながら、時たまに近所の河川敷に行っては、君への想いを石にぶつけて、河川に放り込むのだった。

君を好きだと気づいた時から、僕は君が誰かと並んで歩くたびに、心のバランスが崩れていった。僕は君が彼女を手に入れた時、その時はもう10年も前になるけど、僕は君と同じ大学に行くことを諦めた。偏差値的には何の問題もなかったし、悠々と合格圏内には入っていたけれど、僕はワンランク下げた大学に入学した。実家よりも遥かに遠い場所で、僕は近所の大学に行く君と別れを告げて、一人暮らしを始めた。

君は、何かにつけて僕の家に転がり込んできた。同じ大学の仲間と一緒に楽しんでいればいいのに、大学がある日も休みの日も、君はサークルに入った素振りも見せず、僕と小学校の時から相変わらずゲームをして過ごしていた。もちろん君に彼女が出来た時は、君は僕の家に来る回数は減ったけれど、彼女と別れた時は僕の家で酒を浴びるように飲み、そうして僕に告げるのだ。

「あー、お前が彼女だったらな」

君は僕のことをただの幼馴染としてしか見ていなくて、僕は君の言葉に曖昧に相槌を打つことしか出来なくて、それから飲んだ酒の量は覚えていない。多分、吐く寸前まで飲んだと思う。僕は自暴自棄になっていたし、君も自暴自棄になっていた気がする。

ローテーブルのそばで寝転がって小さくいびきをかく君が、寝ぼけた僕の視界に入った。薄いTシャツを着せられた君の胸が上下する。僕は唾を飲み込んで、それから目を閉じた。叶わない恋だということは骨の髄まで分かりきっていて、僕をどこまでも幼馴染としてしか見ていない君に腹を立てることも出来なかった。

「ねえ、彼女作らないの?」

君がいつの日か僕に言った言葉を、僕は何度も反芻する。

「あー、お前が彼女だったらな」

信頼の弾丸が僕を抉る

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