陽だまりにキス
あぁ、なんて君は美しいのだろう。
クリスマスのオーナメントが欲しいと言ったのは僕の不器用な理由で、本当は君と街がざわめきあうこの時期に、2人っきりで出かけたかっただけなんだ。
大手家具メーカーの入り口に踏み入れば、そこはイエスキリストの誕生日を祝うデザインが施され、非日常な空間が醸し出されていた。君は鼻歌を奏でながら、アレコレと僕にオーナメントを手渡してくる。僕は君の横顔を見ながら、その高揚感に酔いしれるしかなかった。
帰りにスーパーに寄ろうといったのは君だった。今日は寒いから鍋にしようと、マフラーに顔を埋めて鼻を赤くした君は、僕の返答を待つ前にカゴに鍋の食材を入れていった。カートを押す君の背中は何だかいつもより健気で儚くて、僕は慌てて君に駆け寄った。
夕方の陽射しがカーテンを通り抜け、ラグが敷かれたリビングに降り注いだ。僕が冷蔵庫に食材をしまっている間、君はふかふかのラグに寝そべって、小さな寝息を立てていた。僕はそっと君に近寄り、君のサラサラとした髪を撫でた。一度も染められていない君の髪が、僕の指の間をすり抜けた。薄く色付けられた唇が小さく開く。
僕は君の隣に寝転がり、君の手首に口を寄せた。
陽だまりにキス
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