心理学検定キーワード第4章【社会・感情・性格】4.1(対人的自己)★★★
「自己と他者」R.D.レイン
という本をご存じでしょうか?
「引き裂かれた自己」の方が有名かもしれません。
1927年イギリス生まれの精神科医であるR.D.レインの著書の1つです。
養老孟司さんも「引き裂かれた自己」については
「バカにならない読書術」でおすすめされています。
私自身は引き裂かれた自己を読んで、非常に面白かったのでそのほかの本も読んでみようと思って手に取った
レインの2冊目の著書になります。
人間は人間にとって何であるのかを深く知ることができます。
感想としてはぺらっぺらですが、とにかく本は読んでくださいとしか言えないw
本日から4章始めます。
対人的自己についてやっていきましょう。
→自己とは何か、自己概念と共にみていきましょう。
「自己」はその形成・維持に他者の存在が不可欠です。
その意味で自己は「対人的」といえます。
世の中に自分一人しかいなかったら
自己もくそもないわけですw
自分の性格、能力、外見などについて持っている知識が構造化されたものを
自己概念といいます。
これは、他者との比較、他者からの評価から得た情報によって形作られるものです。
そして、自己概念の中でも特に集団や社会のカテゴリーに所属することへの自覚に基づく部分を
社会的アイデンティティと呼びます。
そもそも、「人には自分の意見や能力を正しく評価したいという欲求があるから、自分と他人を比較する傾向がある」という理論があります。
これは社会的比較理論といって
フェスティンガー(Festinger,L,)が提唱した理論です
タジフェル(Tajfel,H.)とターナー(Turner,J.C.)が提唱する
社会的アイデンティティ理論では
「人は自己を高める動機があるので、所属する内集団とその他の外集団にカテゴリー化すると、自他の集団を比較して内集団を高く評価しやすくなる」と仮定しています。
自分が属する集団には帰属意識もありますし、良く思いたい、内集団びいきしたいって気になるんでしょうかね。
また、自己概念は文化的背景によって構造や働きが異なります。
これが良く問題として出てきますの要チェックでございます。
アジア圏で優勢なのが
相互依存的自己観で、他者との結びつきを強調し社会的関係の一部として自己をとらえます。
一方、欧米で優勢なのが
相互独立的自己観で、一人の独立した人間であることに価値を置き、個人は他者から分離されていて、その思考感情行為は他者とは関わりなく統合されています。
→自尊感情とセルフハンディキャッピング
自己に対する評価的な感情の事を
自尊感情といいます。
人間はこの自尊感情を高めたり維持しようとする基本的な傾向がありますが
その根底として考えられているのが主に2つ挙げられます。
・死に対する不安を和らげること(恐怖管理理論・存在脅威管理理論)
・関係他者や集団からの需要・拒否を示すメータとしての働き(ソシオメーター理論)
です。
自尊感情を高めて維持するためにやりがちな事
他の人と比べる時に、自分よりも悪い結果(劣っている)人を対象に選びがちw
これを下方比較といいます。
合コンに自分よりもかわいい女子を連れてこない戦略。まさにそれですw
原因帰属(失敗、成功の原因が何なのか)についても
・成功→自分の能力が高い、努力したから
・失敗→外的な要因、人や環境のせい
に帰属する傾向があり
これを自己奉仕的(セルフサービサー)帰属といいます。
そして、これもむちゃくちゃ多いのですが
ハードル下げるパターンです。
事前に不利な条件をわざと作り出して、失敗した時の言い訳の材料を用意しておく。
これをセルフハンディキャッピングといいます。
関連するモデルとして
テッサー(Tesser,A)の自己評価維持(SEM)モデルというものがあります。
この自己評価維持モデルは3つの要因で自己を評価するとされています。
①他者との心理的距離:他者との心理的距離の近さなど
②課題の自己関連性:自分が課題に対してどれだけ真剣に取り組んだのか
③他者の遂行レベル:他者が自分よりもレベルが高い遂行力をもっている等
によります。
→自己制御と自己効力感
自己を主体と客体でわけると
主体(主我)=I
客体(客我)=me
になります。
この自己の二重性はジェームズ(James,W)が提唱したものです。
人が自分に注目している状態を客体的自己意識といいます。
・鏡の前で自分を見る
・カメラを向けられる
・集団の中で少数派になる
などが起きた場合は
客体的自己意識が高まり、望ましさの基準(理想としている水準や、社会的規範)に合致した行動をとるようになります。
確かに、取材でカメラ向けられたときに間違いなくピシッとした感じになってたわ(経験談)w
こうした過程を広く自己制御といいます。
バンデューラ(Bandura,A)が提唱した自己効力感(セルフエフィカシー)という概念は
自分が適切な行動を遂行できるという確信の程度といいます。
自己肯定感(ありのままの自分を肯定すること)とは意味あいが全くちがいますので注意してください。
→自己開示と自己呈示
他人とのかかわりの中で、当然に自己を様々な形で表現すると思います。
自己開示は
「自己の内面的な事柄を特定の他者に対して言語を介して伝達する事」です。
一方で自己呈示は
「他者からみられる自分を操作するための行動」をいいます。
・開示→内面を包み隠さず伝える
・呈示→良く思われようとして伝える
こんな感じだと思います。
印象操作という言葉がありますが
自己だけではなく、他人の印象や組織の印象まで影響を与えるもので
自己呈示よりも広い概念です。
→本日の内容‐箇条書きまとめ
・自己は対人的である
・自己概念とは自分が持っている性格、能力、外見の知識が構造化されたものである
・自己概念の中で特に集団やカテゴリーに関するものを社会的アイデンティティという
・社会的アイデンティティ理論はタジフェルとターナー
・社会的比較理論はフェスティンガー
・アジア圏では相互依存的自己観が優勢
・欧米では相互独立的自己観が優勢
・自己に対する評価的感情を自尊感情という
・自尊感情の根底には恐怖管理理論やソシオメーター理論がある
・成功は能力と努力、失敗は環境のせいなどの原因帰属の特徴を自己奉仕的帰属という
・事前にハードルを上げておいて失敗した時の原因を用意しておくことをセルフハンディキャッピングという
・テッサーは自己評価維持モデルを提唱した。
・人が自分に注目している状態を客体的自己意識という
・自己効力感はバンデューラが提唱した
・自己開示は内面を言語を通じで伝達すること
・自己呈示は取り繕って伝えるための行動をさす
以上、本日は対人的自己についてでした。
いやー。キーワードが多いw
次回は社会的影響について
こちらも大ボリュームです。
それではまた次回!