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黒野 燁
2019年9月28日 00:39
今年の春から大学に通っている佐藤は、正義感の強い男だった。ーー悪いことをした人間が、法だけで裁かれるのは物足りないーーそんな思想を持つ彼は毎日のように、何らかの悪事に手を染めたとされる人物の個人情報を、インターネット上の様々な媒体を使って拡散させる『ネット私刑』を行なっていた。ーー【拡散希望】○○の犯人の住所特定ーー佐藤は、スマートフォンを使いこの文を匿名のSNSアカウントで投稿し
2019年9月14日 23:40
俺はスマートフォン専用ゲームにハマっている。 放課後はもちろん、休み時間でさえもレベルアップに勤しむ毎日。 「そういえば、来週「魔神祭」というイベントがあるな。イベントに向けて、キャラクターを強化しなければな」友人の義明はそう言った。義明と俺はゲームのレベル上げで競い合っていた。今のところ俺がレベル126、義明がレベル125で、俺の方が若干高い。 ところがある日、義明のレベルの
2019年9月11日 12:00
道端を歩いていたら、封筒が落ちていた。中を見たら、10万円が入っていた。交番に届けるべきかと思ったが、俺の心の天使は完全に、悪魔に負けた。 上着の内ポケットお金を突っ込んだ。ブランド物、美味い飯、風俗……etc。これから何に金を使おうか俺は胸を躍らせていた。 街に向かう途中、痩せた老人を見つけた。彼は、ボランティアでゴミ集めをしていた。汚れてヨレヨレの服、底が剥がれかけている靴か
2019年9月7日 08:42
通勤中、携帯電話が鳴った。警察からだ。エディは何事かと思い、恐る恐る電話に出る。どうやら、エディが家を出た後すぐに、何者かが自宅に侵入したらしい。今、家には、ジョンという一人息子と、ベビーシッターがいる。警察の話によると、ベビーシッターは殺害され、ジョンは、命に別状は無かったものの、怪我を負っていて、犯人の顔を覚えていないのだという。 エディは「すぐ家に戻ります」と言ったのち、電話