2020/11/02読書メモ
映画『メイキング・オブ・モータウン』パンフレットの解説
ゴーディはフォード社の組み立てラインで仕事をしたことがあり、彼のシステム開発のビジョンはそれをベースにしています。
ゴーディが思いついた仕組みとは、プロデュース、編曲、ダンスなど各工程を回ることで新しいスターを誕生させる手法だった。フレームだけだった鉄の塊がピカピカの新車として工場を出ていくように、スターを生み出すことができると考えたゴーディは、ダンスやエチケットも含め徹底した管理体制を敷き、全米No.1ヒットを連発していく。クオリティ・コントロールと呼ばれた品質管理会議は、ソングライターやプロデューサーたちの競争心を煽り、ブランドに磨きをかけていく。
(モータウンの音楽に詳しい訳でもなく、創業者のベリー・ゴーディという方も初めて知ったのですが、ここ数年みた映画で一二を争う面白さでした。音楽産業でクオリティ・コントロール(QC)という言葉が出てくることが面白いと思ったのですが、ゴーディの書いた図によると、楽曲のQCは全体の工程の一部であって、ゴーディの取り組みはもっと広く全社的なTQC(トータル・クオリティ・コントロール)と言ってよいかと思います。)
どこにでも才能のある人間はいると思う。ただ、ベリー・ゴーディというリーダーはいない:スモーキー・ロビンソン
(この映画は、様々な論点で様々な解釈を語ることができる奥深い映画だと思うのですが、ミュージシャンのみならず、プロデューサーやライターなどの能力も最大限に引き出すベリー・ゴーディの卓越したリーダーシップには、学ぶべきところが多いと思います。また、リーダーシップの論点から見たこの映画のハイライトは、ゴーディの作り上げた成功のシステムを超えて成長したミュージシャンとの葛藤から、人間は車と同じではない、という気づきを得て、ゴーディも考えを変化させていく点ではないかと思いました。DVDが発売されたら、改めてじっくり見てみたい映画です。)