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提灯暗航きいた感想

 ヒメヒナの3rdアルバム提灯暗航きいた!?

 日本の夏祭り、って感じた。Japanese Summer Festival
 初見にだーっと流していると浮かんできたんだ、夏祭りの情景が。月と提灯しか灯りのない夜。人々の喧騒で騒がしいはずのひととき。ふとした瞬間に垣間見える夜の祭りごとの妖しさ。祭りを楽しみにきたら非現実に引き込まれて摩訶不思議な世界をさまようような体験。そんなアルバムだった。

 1曲目の「夢のおわりの菊の花」から「神喰姫」、「WWW」までの流れが完璧すぎるのよ。「夢のおわりの菊の花」は儀式。神に捧げる舞のようで、水面に立った鳥居の前で二人の祭事を見ているような情景が浮かんできた。そして最後のアレで水面の向こうの非現実に引き込まれてしまう。からの「神喰姫」。イントロやメロディから和風伝奇ダンジョン味を感じた。神に逆らって己が自由を通す、そんな目的をもって黄泉の国を進むような。その果てに辿り着いたのが「WWW」。目的も理由も忘れてしまうような妖しくも楽しい街。当初の目的が曖昧になってただただ非現実を彷徨うことになっていく。

 「Hello, Mic.」からの「Hello, Hologram」も良いよね。「Hello, Mic.」が怒涛にヒメヒナ楽曲を浴びて圧倒されていたところに来る休憩のような感じで、でも中身は全然マイクチェックとは思えない早口。「GOLDEN」から流れるようにやってきて一旦落ち着かされて、でも徐々に「Hello, Hologram」への期待感を煽られるのよ。ただでさえ好きな「Hello, Hologram」でさらに上がってしまうわ。「Hello, Hologram」をありがとう、お陰様でこの世界に全身浸かれました。

 フンドランドってナンダロウナ。
 ソンタク? いやいやフンド。フンドしてしまうナンダロウナに溢れているこの世界はまさしく「ナンダロウナ・フンドランド」。

 「ナンダロウナ・フンドランド」で冷静になったけど我々は非現実な異世界を巡っていたのではなくヒメヒナのライブに来ていたんだ。「One-Way」の田中ヒメ味のある真っすぐな強い歌詞が取り戻してくれた。「ハレ」もライブだって言ってる。過去は胸の奥に仕舞って囚われず生きて行けと。

 進み続ければ輝ける日々があると、そう思っていたのに……。人生は良い事だけじゃない。辺りは闇が広がっていて五里霧中。でも希望をもって歩いていかなければ。提灯をもって軌跡を残して会えないとしても。二人だから希望を費やさず進んでいけたのかな。
 だから「会いたいボクラ」は会えたんだ。
 しっとり聴いているとライブでヒメヒナに会えた光景が蘇ってきたわ。ヒメヒナの現地ライブに行ったことはまだないから存在しない記憶なんだけど。
 このアルバムを聴き続けていると「会いたいボクラ」が一番好きになる予感がしている。

 「会いたいボクラ」で会えた、会えたよって喜んで弾けてしまうんだけど「閃光花火」ように楽しいひとときは瞬く間に過ぎて行ってしまう。
 踊り回りたくなるくらい楽しい曲なんだけど、ライブのラスト曲としてピッタリすぎる。終わる悲しみを分かりつつも精一杯楽しんでしまう。

 ただただヒメヒナの世界に浸っていると「夢の跡」。
 ライブが終わってしまった……。いや夢だった? 現実に戻ってきてた?
 もう一回、最初から始めよう。ループ再生だ。

 ヒメヒナの新たな世界を感じられるいいアルバムだった。もっと聴きこんで浸っていきくよ。深い深い海の底へ体を沈めていくように。


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