おとなとコドモと僕とあの人

あの人は憧れの全てを持っていた。
思想も行動もファッションも、何故あんなにかっこいいんだろうって。
どんな生き方をしてきたら、こんな人になれるんだろうって。
ずっと思ってた。考えてた。



世の中から見たあの人は、「トガっている」人だった。
ダレかと似ていることがユルセナイ人だった。
ダレかと同じ自分がユルセナイ人だった。
ダレかに負けるなんてことが、ダイキライな人だった。



だからあの人は、ソラに行こうとした。
だからあの人は、ウミのソコを目指した。
だからあの人は、初めにスープをノミほしてから、拉麺をたべた。



僕にはとってもかっこよく見えた。
とってもとっても。
だから僕は、僕なりに{トガってみた}
なにか違うなって思ってたけど、それなりに、ぼくなりに。



おもしろかった。
今までと何か違うなって思える自分が楽しかった。
僕ってこんな人ですって、
言えるようになったんだ。凄いでしょ。
あの人は褒めてくれた。
カッコイイって。
君は、カッコイイヒトだよって。







あのひとは、おとなになったのかな。
きっときっとそうだろう。
あのひとは、ようふくにおかねをつかわなくなった。
じぶんのためにたたかわなくなった。

けっこんしたんだって。
こどももできたんだって。
よかったよかった。
しあわせそうに、なんかみえる。
けどあのひとのこどもは
すーぷをひとくちのんでから
らーめんたべてたよ。



どうしてかな。

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