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【北欧旅行記】DAY7-8 フィンランドのビッグパーティー!春の訪れを祝う「Vappu 」 を味わって

タリンから帰ってきたら、ヘルシンキの街の空気が浮足立っていた。白い帽子をかぶった街ゆく人々。いつもよりはずんで聞こえる、親しい人とのしゃべり声。片手にワインや食べ物をもち、みんなあちこちへ浮足立って向かっていく。

今夜は、Vappuの前夜祭。翌日、5月1日はフィンランドでは春の訪れを祝う「Vappu」。高校を卒業するときにもらう白い帽子をかぶって、人々は公園や広場にピクニックにでかけ、お酒をのみ、おしゃべりを楽しみ、街全体がお祝いムードに包まれる、そんな一日。

Vappuこそ、今回の旅の目的。タリンへの小旅行を終え疲れはあったけれど、高揚した空気に触れて、今すぐ街に飛び込みたい気持ちがむくむくと膨らむ。荷物をいったんアパートに降ろし、戻ろうと決めた。

港から家へ向かうトラムから、夢中になって街中を眺めた。お揃いのオーバーオールを着て肩を並べ歩く学生たち、ジャケットやコートを羽織って白い帽子をちょこんとのせる素敵な人々、店先をいろどる風船、街を強くやさしくてらす夕陽。あぁこの景色をみるために、味わうために、フィンランドまで来たんだなぁと胸が熱くなる。

学生たちは、学部ごといろいろな色のオーバーオールに
カラフルなアップリケをたくさんつけて身にまとう
店先に風船を出しているお店もたくさん!

ヘルシンキ大聖堂前を通過するとき、ふわぁっと夕陽が広場も人も包み込んで、それはそれは美しかった。今もこれを書きながら泣きそうになってしまうほど、ぎゅっと大事に、忘れられない景色が広がっていた。

アパートに着き、急いでヘルシンキ大聖堂の方へ戻る。その頃には陽は沈みかけ。それでも、ヘルシンキ大聖堂は多くの人(特に学生)で賑わっていた。その空気を味わい、息子はアイスを食べ、上機嫌。家族で記念写真も撮った。

帰り道も、白い帽子をかぶった人々が連なる姿をたくさん見かけた。なんとチャーミングな佇まい。見ているだけで、ごきげんになってしまう。私も、浮かれている。

アパートに帰ると、近所の人なのか、小高くなった中庭のような場所でピクニックをしていた。そんなの、この数日で見たことなかったよ。どこでもピクニックするんだな、前夜からお祝いを楽しむってこういうことなのかと、地元の人々をまじまじと観察してしまった。

いよいよ明日は念願だったVappuの1日。ソワソワと、少し緊張しながら眠った。

ーDAY8 Vappuー

「今日はVappuだね!」と言いながら起きて、でも、これまでと変わらないような朝。もうすぐ旅の終わりということもあり、冷蔵庫にあるもので朝ごはん。

支度をして出かける。まずは昨日と同じくヘルシンキ大聖堂へ。町全体がイベント会場のようなもので、どこにでも白い帽子をかぶった人がいるのが見ていて楽しい気持ちになる。アイコニック。警察官(?)も、仕事着のうえに白い帽子。

今日も朝からみんなでかけて
今日はヘルメットではなく、白い帽子

ヘルシンキ大聖堂は、白い帽子をかぶった人の姿があれど、前夜ほどの人ではなく、穏やかな空気が戻っていた。サクッと記念写真を撮って、ハーバーの方へ向かう。同じ方向へ歩いていく人がたくさん。

食料調達をするのにオールドマーケットホールへ。お気に入りのオープンサンド、Vappuといえばのティッパレイパやムンッキ、シマ、そしてムーミンの風船をゲット。調達した食料は、この後公園へのピクニックへ持っていくつもりだったのに、海辺と、海辺で過ごす人たちが気持ちよさそうで食べてしまった。嬉しく楽しくなってきて、私はドーナツを追加で買って、それも全部食べた。

オールドマーケット内でも国旗掲揚
サーモンのオープンサンドは外せない
左上にある黄色っぽい飲み物が「シマ」
レモネードのような味わい
夫が頼んだけれど、美味しくってたくさんもらった

人の流れにのって、一番多くの人がピクニックをするというカイヴォプイスト公園へ私たちも向かう。風船やバスケット、スーパーの袋にでも、おいしいものとお酒を持ち寄って、ごきげんな足取りで、たくさんの人が歩く。気づけば、公園にたどり着いていた。

見渡す限りの、人、人、人。晴れ渡る青空の下、レジャーシートや椅子、テントを広げ楽しむ人々は、幸せそうに朗らかなに笑っていた。春の訪れを祝うとともに、家族と団欒したり、旧友との再会を歓んだりする機会にもなっているのかなと想像する。これが、Vappuの景色。

あちこち風船が飛んでいた
本当に、すごい人だった

私たちもレジャーシートを広げ、新たに調達したハンバーガーなどを食べる。ものすごい人の数だけど、出店はほとんどないことに驚いた。お店がありそうと思って近づくと、ただ市民がテントを張ってテーブルを広げて屋外パーティをしているだけだった、なんてことがままあった。

二杯目のシマをゲット
息子もとってもごきげんだった

Vappuを楽しむ人々を眺める時間が幸せだった。その中に自分たちがいられることは不思議で、嬉しかった。そんな気持ちで撮った写真が宝物になっている。友人が見せてくれた景色を、自分の目で見に来て、その空気を味わえて、本当によかった。

午後3時ごろ、中央駅の方へ戻りながら、少しお買い物を。明日、帰国するということで、ちょこちょことしたお土産を買いに。街中のカフェのテラスやスーパー、地下鉄でも白い帽子をかぶった人を見かけるので、1日中お祭りムードを味わえる。こんなに、街が、市民が一体と感じるお祭りは、人生初めて。観光客の私たちでも混ざれるほどの気軽さもいいのだろうな。

帰り道、夕方のヘルシンキ大聖堂にまた立ち寄る。やっぱり、前夜祭より人の数は少ない。家の方に戻ってみても、中庭でピクニックする人の姿はなかった。ただ、最寄り駅の近くにある24時間スーパーはゲートがされていたことに、ビッグパーティーの余韻を感じた。

明日はいよいよ、帰国の日。夫と一緒に、夜遅くまでパッキングをして眠った。

▼今回の北欧旅行記はこちらのマガジンでまとめています




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蒔田志保
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