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ゆうとす氏の「少子化のメリット」という記事への私見
noteで「少子化のメリット」という記事を見かけた。執筆者は「ゆうとす」という方である。この記事への私見を述べていく。
そもそも今の日本の人口って適正なのかを考えたいです。人口が右肩あがりに伸びたのはここ100年くらい話らしく、異常なことなのです。江戸時代は3,000万人くらいの人口で、明治に入り爆発的に人口が増えたのが日本です。
「人口が右肩あがりに伸びたのはここ100年くらい」とあるが、ゆうとす氏自身が掲載しているグラフからも分かるように、西暦800年から1850年の間の時点で既に人口は緩やかに上昇傾向にあった。
そのため「上昇のスピードが急激なものとなった」と書いたほうが正確である。
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1939年に国が発表した「結婚十訓」
・一生の伴侶として信頼できる人を選びませう。
・心身ともに健康な人を選びませう。
・お互いに健康証明書を交換しませう。
・近親結婚はなるべく避けることにしませう。
・悪い遺伝のない人を選びませう。
・成るべく早く結婚しましょう。
・迷信や因襲にはとらわれないこと。
・父母長上の意見を尊重なさい。
・式は質素に、届けは当日に。
・産めよ殖せよ国のため。
もともとナチスドイツの影響を受けていて、優生思想も入っていて恐ろしさも感じる内容です。
リベラリズムやポリコレなどといった価値観と相いれない項目は混じっているものの、一つ一つ見ていくとそこまで不適切なものは含まれていないとも言える。
・一生の伴侶として信頼できる人を選びませう。
→一生の伴侶として信頼できない人と結婚する方が愚か。
・心身ともに健康な人を選びませう。
→ニーチェのいう奴隷道徳と真逆な価値観。心身ともに健康でない人より、心身ともに健康な人と結婚する方が模範的かつ理想的である。
・お互いに健康証明書を交換しませう。
→健康は大事。
・近親結婚はなるべく避けることにしませう。
→近親婚は奇形児のリスク等がある。医学的に正しい項目である。
・悪い遺伝のない人を選びませう。
→遺伝的な疾患を有している人と結婚したがる方はまず見かけない。
・成るべく早く結婚しましょう。
→高齢出産は流産・染色体異常などのリスクが上昇する。医学的に正しい項目である。
・迷信や因襲にはとらわれないこと。
→迷信や因襲に囚われるのは愚か。
・父母長上の意見を尊重なさい。
→父母は人生経験が自分より豊かであるため、父母長上の意見を参考にしておくことは結婚における失敗を減らすことにつながる。
・式は質素に、届けは当日に。
→結婚式は結婚生活のスタート地点に過ぎない。結婚式は質素な方が良いという主張は間違っていない。また1939年当時は出生届の提出が今よりも雑なケースが多かったのであろう。
・産めよ殖せよ国のため。
→リベラリズムやポリコレの観点からは有り得ないような一文であろうが、人口動態が国力に及ぼす影響が非常に大きいというのは紛れもない事実である。
「ナチスドイツの影響」とあるが、「一生の伴侶として信頼できる人と信頼できない人、どっちと結婚すべき?」や「心身ともに健康な人と心身ともに健康でない人、どっちと結婚すべき?」という問いに対して「後者と結婚すべき!」と答える方は21世紀の日本で恐らく居ないであろう。高須院長のようなごく少数の狂人を除けば、今の日本でナチスドイツに親和的な者は殆ど居ないはずなのだが・・・。
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最後の「産めよ殖せよ」がひとり歩きして、5人以上の子を持つことが当たり前の時代になったそうです。国のためにですよ。明治くらいからは死亡率も下がり始めたことも要因の一つです。
<最後の「産めよ殖せよ」がひとり歩きして、5人以上の子を持つことが当たり前の時代になった>というのは事実でない。近代化以前は乳児死亡率が今より高く、5人以上産んでも成人できる子供の数が少なかったため(つまり生まれても間もなく亡くなってしまう子供が多かったため)5人以上の子を「持つ」ことが難しかったというのが実態である。
出産数が近代以前と以後とで余り変わっていないのなら、世帯当たりの出産数と「産めよ殖せよ」の関係性は薄いと判断するのが妥当であろう。また、そもそも明治維新は1868年であり、「産めよ殖せよ」(結婚十訓)は1939年であるため、70年ほどギャップが存在している点にも注意する必要がある。
少子化とは、風船をドーピング剤で無理やり膨らませた結果少しずつ空気が抜け萎んできた状態だと思っています。 むしろ、風船の大きさは自然な大きさに近づいているのかなと。
ゆうとす氏は「近代化後の日本は人口が過剰となっていた。だから日本の人口減少は日本が適正人口に近づいていることを意味しており、或る意味では望ましい現象である」と考えているようだ。
だが、これは客観性という観点で問題がある。「日本の適正人口は具体的に何人ほどなのか」「日本人口のピーク値 1億2808万人(平成20年度)が異常値であるという根拠はあるのか」と疑問に感じる方も居るのではないか。
事実、ゆうとす氏自身も「学者の間では、日本の人口が7,000万人から8,000万人くらいに落ち着くといいかも!みたいな話もあるそうですが、正解はわかりません」と告白している。
「風船をドーピング剤で無理やり膨らませた結果」とあるが、日本の出生数のピークは厚生労働省の統計によると1947年の2696638人である。義務教育レベルの話だが、1947年は1939年のような戦前・戦中期ではなく、既に戦後である。
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「少子化とは悪だ!」みたいな論調ですが、人口が減れば一人当たりの資源量は増えることにもなります。島国である日本には十分な資源がないのです。
資源を自国のみから供給している国であれば人口が減るほど一人当たりの資源量は増えてゆくだろう。しかし、ゆうとす氏がその直後に述べているように日本は資源国ではない。そのため日本は貿易によって他国から資源を輸入する必要がある。
その際、少子化によって人口動態すなわちGDPが低下していると、資源を輸入するための経済的負担が相対的に大きくなってしまう。
今の日本で起こっている人口減少は、各年齢層が同じ割合で減っていくもののではなく若い年齢層ほど人数が減っていくものである。勤労世代の人数が減り、高齢世代の人数が増えていく状況下において、輸入しなければならない資源量の減少はそこまで大きくなく、GDPの減少はそこそこ大きいという現象は普通に起こりうる。
下記で愛国同盟氏が「問題は人口より(寧ろ)高齢化」と述べているように、人口減少が急激かつ高齢化も並行して発生している社会は持続可能性が危うくなってしまう。
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参考記事:“都市=蟻地獄”だった…江戸時代からみる 日本の人口減退期に起こること(ヤフコメ)
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それにしても記事の結びにある「少子化は近視眼的は発想で、デメリットばかりではないのかなと思っています」って、文章として成立していない印象を受ける・・・。