見出し画像

ルールの条文ではなく解釈を変更することでルールの内容を変更する行為

自衛隊に関しては半世紀以上もの間、違憲を疑う声が度々あがっている。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

日本国憲法

それはそうだろう。陸上自衛隊や海上自衛隊や航空自衛隊を「陸海空軍その他の戦力」でないと主張することには不自然さが付きまとう。

日本国憲法を改正すべきか否かは多くの議論を呼んでいるが、筆者は憲法の条文を改正し、自衛隊を公認すべきだと考える。ルールの条文ではなくルールの条文への解釈を変更することでルールの内容を変更するのは、ルールの空文化や形骸化をもたらすからだ。

ちかごろ同性婚を合法化すべきか否かの議論が世界規模で起こっており、海外では同性婚を合法化する国が現れている。
これに対して筆者は「もし日本で同性婚を合法化するならば憲法を改正するほうが良い」と考えている。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

第2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

日本国憲法

両性具有という語彙があるように名詞「両性」は「男性と女性」という意味である。「両性の合意のみに基いて成立」の直後に「夫婦が同等の権利を有することを基本として」とある以上、前後の文脈から判断しても「両性」は「夫婦」のことだと読解するのが自然である。

憲法24条に関しては「日本国憲法は同性婚を禁じてはいない」と主張する声もある。確かに憲法24条第1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」となっており、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならないため、同性間での結婚は禁じられる」と書かれている訳ではない。
だが、仮に今の憲法の条文のまま同性婚を合法化してしまうと、男性と男性のカップルや、女性と女性のカップルによる婚姻が成立することになってしまう。男性と男性のカップルのことを両性と呼ぶのは日本語として不自然である。女性と女性のカップルも日本語では両性と言わないはずである。

仮に条文が「婚姻は、双方の合意のみに基いて成立し、双方が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」となっているのであれば、男性と男性の婚姻や女性と女性の婚姻も条文と矛盾しない。
だが、実際の条文は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」となっている。男性と男性のカップルや女性と女性のカップルは両性ではない以上、同性婚は現在の憲法24条第1項の条文と矛盾してしまう。

憲法は、その国で最高法規と位置付けられるルールである。国における最高法規を解釈だけで変えようとするのは立憲主義の基盤を揺るがす行為である。

ここで、同性婚賛成派によって憲法の条文が改正された状況を考えてみよう。
たとえば憲法24条第1項が「婚姻は、双方の合意のみに基いて成立し、双方が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。また、婚姻は異性間だけではなく同性間においても成立する」と改正されたならば、同性婚は憲法の条文でも明確に認めれることとなる。自分が同性婚賛成派の一人であるならば、このような憲法改正を熱烈に歓迎するであろう。

筆者は同性婚に賛成でも反対でもない。しかし、仮に日本で同性婚を合法化するのであればルールの解釈を変えるのではなくルールの条文自体を変えるほうが良いのではないだろうか。




サムネイル画像:「形骸化」の意味と使い方!「形式化」との違いは?【類義語・対義語】|語彙力.com (goiryoku.com)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?