ロングショート戦略について
株式におけるロングショート戦略について簡単に書きたいと思います。
昨年度は、マクロ/CTA戦略が好調で話題となりました。
この戦略のファンドは株のみならず、債券・為替の先物市場に多く資産配分しているケースが多くパフォーマンスをかなり上げました。
更なるインフレ加速や金利上昇はファンドリターンにとってポジティブな要因となります。
こちらについては、具体的にどんなポジションを取るのか等は、今後長く続いた低金利時代が変わりつつある環境化において、非常に重要なため、また別日に記載します。
今回はロングショート戦略なので、一般的な個人投資家もイメージがつきやすい戦略かと思います。
簡単に書きますと、上がりそうな銘柄を買い(ロング)下がりそうな銘柄を空売り(ショート)する。
例えば、同一業種の割安な銘柄を買って割高な銘柄を売るといった具合です。
実際には、買いと売りの比重をどちらかに傾けて適用することが多く、株式相場の上げ下げに左右されずに、小幅なリターンを積み上げていく手法になります。
これまで、長く続いた低金利下では、良い銘柄も悪い銘柄も一緒に上昇することが多く、単に株を買うだけの投資に勝てない状況が続いてきました。
中央銀行の支えがない市場においては、良い銘柄/悪い銘柄が市場の振るいに掛けられることでその株価パフォーマンスに明確な違いが出てくることが想定されます。
個別株投資はあまりという方について、これまで低コストのパッシブ運用がもてはやされてきた時期が長く、これに盲信する場合も注意が必要です。
マクロ経済が不安定で流動性も劣後した環境では、債務不履行の高い企業にも同時に投資するリスクも発生します。
中央銀行の支えがなくなる環境においては、より優れた銘柄選定が必要となり、加えてダイナミックな資産配分がより重要となり、株を単に買う、インデックスをセットで買うという方式から、個別で様々な資産を持ちながらの戦略への回帰が起きつつあります。
直近のマーケット環境と今後の見通しを簡単に記載しながら話を進めていきます。
12月は、年末特有のtax less sellingに乗じたショートが優勢に展開されていましたが、年明け早々1月には、QE時代に人気な低質なハイグロ銘柄やミーム株の株価を大きくショートカバーで持ち上げました。
ソフトランディングを織り込む市場全体の反騰と言ったところでしょうが、決算シーズンにはコンセンサス以上の決算を出した企業よりも、乏しい企業が物色されかなり上昇しました。
ある程度、乗じた形で1月はパフォーマンスを上げられた方も多く、利確もできた形かと思います。
2月に入り、先行指標であるCPIからガソリン価格や中古車価格も反転の兆しが出てきており、ある程度上限を設定し、利下げを織り込む形でインフレ指標とFEDを無視した形で債券市場も落ちついておりましたが、不安材料が出始めた形になります。
インフレの緩和については、これまでは主に財が率いてきたといえます。
米金融政策の焦点は労働市場のひっ迫が賃金とインフレに上昇圧力を与えるサービスセクターにシフトし、CPIに算出されている中古車価格は過去6カ月で下げ、当局のインフレとの闘いを支援してきました。
しかし、ここにきての価格上昇は流れが反転することを意味し、上振れ余地を残す形になる可能性を秘めています。
そのような状況下の中、踏み上げ相場も需給面からみてもある程度収まりがつくような状況になりつつあり、先月は特に、投機的な動きが続き、ロングショート戦略のショート部分が苦しく、アルファ部分はかなり厳しい環境のファンドもかなり多くあると思います。
このカバーラリーが終わり始めるとFEDに逆らわないメインシナリオに移行しつつある動きに変化していくと思慮されるので、十分に対策を取るべき状況になっています。
今一度、レンジ、下落相場でも耐えられるよう、ストックピッカーの意識を持ち相場に臨む準備をする意味でもロングショート戦略について簡単に書いてみました。