仕手株とヘッジファンドについて
本日は、仕手株とヘッジファンドについて記載をしていきたいと思います。
というのも、特定の銘柄について、質問が飛んできたということもあり、銘柄については、言及しませんが、参考になるようなものを書きたいと思います。
仕手株について
まず、仕手株とは、なにか?ということなんですが、仕手筋といわれる投資家集団によって投資資金を投じ、株価を意図的に操作している株になります。
基本的なフローとしては、ターゲットとなる株を定めて、大量の買いで株価を上昇させ注目度を上げます。注目されるようになると他の投資家がそれに乗じたタイミングで保有株を売り、利益を確定することを目的としています。
具体的には、玉を集める際は、少しずつ株を集めていきますが、予定した株を集め終わった後に、一気に買い増しを行うことで出来高を急増させ、投資家を集めます。この期間は、長いものもあれば、短いものもあり、長期で仕込む場合は、一時的に名義消しを行ったりも可能です。
途中で株価上昇が止まってしまう可能性があるので、間に冷やし玉という形で、売りを入れつつ意図的に上昇しやすいよう調整を行いながら、高値に持っていくようなチャート形成にさせます。
最後に、加速度的に上昇させる形の中で、一気に持っている株式を売却する形を取り、最終的に株価を暴落します。
昔は、徐々に噂が広まり注目させていましたが、現在はSNSも存在していることもあり、昔よりやりやすい環境にはなっているでしょう。
基本的に、本来形成していた株価の動きではなく、情報合戦により意図的に注目させ吊り上げたものですから、筋が売り抜けた後の株価というのは、見るも無残な形になることが大半です。
このような株式の動きは、基本的に筋に近い人間と早く情報を取れた人間は大きく得をしますが、後乗りになればなるほど損をしてしまうのは、やむおえません。
ボラティリティがれば、トレードもしやすいので、乗っかる方は、よく考えてトレードを行いましょう。
このような仕手株について、相場師の是川氏の面白い本がありますので、読んでいる方も多いとは思いますが、参考にしてください。
ヘッジファンドについて
上記の仕手株や大きく自身で保有している株が下がっているとヘッジファンドに仕業や機関投資家の空売りだと騒ぐ方もいらっしゃると思いますが、実際はそんなことはありませんので、それについて書きたいと思います。
そもそもヘッジファンドと聞くと、相場を意図的に大きく動かしていたり、投機的にやっていたり、個人投資家を狙い撃ちにしている等の印象を持たれたり、何かと怪しい噂が立つことが多いと思います。
基本的には、PB(プライムブローカー)やアドミニストレーター、トラスティ、ファンドリサーチ、実際のヘッジファンドの経験がある方は内情は知っていますが、噂が噂で回っているだけで、掲示板、youtube、SNSを眺めていても、実態のことがわかっていない方がほとんどを占めています。そもそもこれらの業務についている人間が少ないこともありますし、同じ企業内でも知らないというのもあるでしょう。
よく空売残に名前が出てくる外資系の証券会社はこのプライムブローカーになります。
ゴールドマンサックスと名前が載れば、プライムブローカー業務の顧客の玉になります。
ヘッジファンドは、基本的には「ファンド」ですので。「投資信託」と共通する部分も多々あります。資金をお預かりしてリターンを返しています。
インデックスファンドが良いとされている風潮なので、なかなか出会う機会はないと思いますが、証券会社内でも商品としても存在しますし、運用のポートフォリオの一部として保有している方も比較的います。
ただ通常のファンドと違うのが、ロングオンリーの(買いのみ)に偏りがちな日本の投資信託とは異なり、海外では「ファンド」というと様々な商品、ストラテジーが存在しています。
投資信託と同じようにPPM(目論見書)も存在しており、どのような運用指針で、どのようなリスク管理を行っているか、様々な要件について記載もしております。
もちろん資金を入れている、投資家との契約ですので、しっかりと守られていますので、投資信託と同じ形で運用はされています。
ヘッジファンドについては、グローバルマクロ、イベントドリブン、ロングショート戦略と多岐にわたりますが、株式においては、ロングショートが主流となりますが、様々な運用をしています。
絶対収益が求められますので、上げ相場でも下げ相場でも関係ないので、ロング(買いのみ)では、実現できず、ショート(売り)を組み合わせながら安定したリターンを実現し、両建てにしてリスクを抑制し、リターンを最大化するために、レバレッジを活用し運用をしています。
株式において、この「ショート(売り)」が特に注目され、売り仕掛けや相場を崩しているレッテルを貼られている原因になっているのですが、それに対するロング(買い)のポジションも常に保有している形を取っています。
ショートオンリーのファンドは、日本では聞いたことすらありませんし、欧米にもごく一部になります。
というのも戦略として、非常に危険ですし、相当企業を深くリサーチしていないとリスクなんて取れるわけないというのが現状です。
日本株に関しては、ヘッジファンドのの多くが「マーケットニュートラル」として、常に金額(もしくはβ調整後のリスク)をニュートラルにして運用をしています。
または、ロングバイアス(買いが多め)のところもあると思いますが、積極的なショートバイアスをかけるファンドの方が少ないと思われます。
去年の環境下であれば、コモディティを扱うグローバルマクロのファンドのパフォーマンスが良かったですが、一方日本株のファンドのパフォーマンスが思わしくなかったのは、上記の内容が答えかと思います。
勝手な相場の思惑や売り仕掛けで、リスクを取ることは、お金を預けてもらっている投資家に受け入れませんですし、お金を預けている投資家もプロ投資家がほとんどになります。
デューデリ、リスク管理、分散、を行い、パフォーマンスも厳しくチェックされ、コンプライアンス体制も想像以上に厳しい世界になります。
それらを踏まえて、厳しい目を持った投資家に対して、「個人投資家のポジションを見て需給を根拠に判断し、仕掛けています」と説明をしたら、資金は預けてもらえないですし、即解約になります。もちろん、そんな銘柄がたくさん出てくるわけではないので、再現性も低いので、対象となりません。
投資家サイドから求められることは、不確かなマーケットにおいて、「再現性」を追求されます。
日本のエクイティロングショートのヘッジファンドは、欧米ほど規模も大きくなく、数兆円規模のものは聞いたことがなく、1千億円でも数えるほどとなります。
このロングショートのPMの大半は、アナリスト出身者が多く、「ボトムアップリサーチ」という企業リサーチをベースに、ミクロファンダメンタルズ分析に基づいた銘柄選択を行っている運用者が圧倒的に多いです。
欧米のヘッジファンドは30~40、日本のヘッジファンドは資金が少ない上に、数10~100程度にかなり分散を行っています。
合理的に考えれば、そんなに大きな相場を動かすほど資金があるわけでもなく、そのような張り方をする人間はいないというのが答えです。
小型株でそれなりに流行っている銘柄を売り崩すのは簡単なのでは?という話ですが、そもそも小型株であるからこそ、株券の調達が難しいのが現状です。
ヘッジファンドは、基本的にブローカーのレンディング(貸株)デスクと通じて借株を行います。レンディングデスクはレンダーと呼ばれる株を貸してくれるような主体から株券を探してくれますが、小型株は発行済株数がそもそも少なく、特に株価が急騰して沸いているような銘柄は、調達困難で在庫がなかったり、借りれても株数が非常に限られ、レンディングフィー(貸株量)も高いです。
空売りする際には、事前に株券の手当を済ませた状態で行わなければ、なりませんから、ヘッジファンドでも厳守となります。
株券なしの空売りは、「ネイキッドショートセル」となり、大問題になりますし、ブローカーにも大変な迷惑がかかります。もちろん運用会社としての管理体制や、信頼を失いかねませんので、一発退場となるような行為は行いません。
こういった制約やルールを守った上で、常にバリュエーション評価を行いながら、割高であると判断したものに関しては、フィーを払ってショートポジションを組成しますので、相当な分析と知恵を絞ってマーケットを向き合う形と必ず取っています。
急落したところを新規で売り仕掛けにいくほど危なっかしいドレードはまずしませんし、細かい情報を独自で分析をせず、ネタに引っ張られてトレードする、一部の個人投資家の方が、相当なリスクテイカーだと考えています。
基本的には、ヘッジファンドはショート以上に、ロングのポジションを抱えていますから、個人投資家は、納得いかない動きを、よく理解できていない存在のせいにするのもわかりますが、マーケットは知恵比べの世界になります。
上がる理由、下がる理由があり、ある理由で上がると期待して買いが膨らんでいれば、その理由が損なわれたタイミングで、急激な下落が発生するのはごく当たり前の現象になります。
株価があがれば、潜在的な下落リスクが高まり、下がれば潜在的な下落リスクが低下しますから、雰囲気で相場を張らず、常に根拠を探し、期待値への評価を客観的に行い続けることが、リスクのあるマーケットでの長期的に生き残れるサバイバル術になります。
ここまでが、ヘッジファンドの大まかな概要ですが、話題になっていたアルケゴスのようなファミリーオフィスはエッジの効いた取引を行うので、少し概略が違いますのでこういうところは別です。
もちろん、先貸しネイキッドショートセルもありますし、ダークプール利用もあり、板には出ません。一時的に決済しない形で宙に浮き謎に増えた株もありますし、個人投資家が使う証券会社ではないので、リスク管理の問題をクリアしていれば注文が執行できるわけです。何かあればすぐに回収に走りますので。
このプライムブローカーはオフショアメインで基本的には日本の規制外で取引を行います。
過去に、アジアの投資家関連で問題になった取引もありますが、やたら軽微な罰金で終わります。やったもん勝ち的な考えを持つところもあり、強く言えない日本の金融庁やマーケット自体がなめられているとも取れます。
こういった話はあまりよくない話でもありますので、細かくは記載しませんが、とはいえ、HFTもいる中で、総合的に不利な個人投資家としてやるべきことは、正しい情報と知識を身に着け、自分で勝てるようなトレードを複数見つけ、それを時代とともにアップデートしていくことが非常に重要です。
もしくは、それを利用したり、関わらない所で隙間を見つける。頭を使い柔軟にトレードをしましょう。
もし興味があれば、下記も参考にしてください。
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