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雇用統計改定値のお話

ジャクソンホール会議までゆっくりするということでしたが、この雇用統計の改定値について質問を複数いただきますので、こちらだけnoteに書いておきます。

今週のマーケットスタート時(おおよそ土日)になりますが、このお話がネット上に拡散されて、ぎくしゃくしたという報道がされていますが、正確には、月曜日の日本時間にほぼ折り込みをしました。

米国のVIXの値動きを見る限り、夜間のマーケットにおいては、影響もなく、そもそものお話としては6月に既出の話題であり、目新しいお話ではなく、この改定値の数値をもって利下げのきっかけトリガーの1つになるかもしれないとマーケット参加者自体は考えていたと思われます。

元々、雇用統計とは、米労働省が雇用主への調査を行い、発表前月にどれだけの雇用を増やしたかの推定値を毎月発表しています。

この推定値発表後は、州の失業関係の税記録からより詳細なデータを入手することが可能となりますので、労働省はこれらのデータを使用して雇用の増減の推定値を修正します。

スケジュールでいうと、3月までの12ヶ月間の暫定数値を8月に発表し、その半年後に最終の修正値を発表します。

これ自体は毎年同じフローで行われているので、過去のデータがどれだけ修正されているかは、誰でも見ることは可能ですし、修正は毎回行われているので、大きく変わっています。

今回おおよそですが、73万人(60万~100万)ほど過大評価されていると報道されていますが、月当たり24万人の雇用増加が、16万人~19万人ほどへの下方修正が予想されています。各金融機関の予想値はかなり幅がありますが、この幅の中で落ち着くと思います。

下方修正幅としては大きいと思料しますが、コロナ後のインフレ環境下という意味でも、新規企業、倒産企業等の正確な把握も難しく、2021年~2022年も大幅に上方修正されたこともあり、速報値自体が大幅に修正されること自体はなんら不思議でなく、データ操作をしていると言っている方もいらっしゃいますが、実際には、少ないデータの中で速報値を出し、徐々にデータが揃い次第正確な数値に洗い替えしていくフローは昔から変わっていません。

重要なのは、この下方修正が起きるかもしれないという事実をFEDが認識しているのか?というところがマーケットとしては心配事項ではありますが、公の場の6月のスピーチや記者会見でパウエル議長が給与増加や雇用の数値は誇張されている可能性があるという議論をしているという発言が出ているので、認識がないということはないです。

結局のところ、雇用統計指標というのは、どのように速報値、改定値が出されていてということを理解することと、基本的にはマーケット自体はすぐに織り込まれているのが正ですので、今はジャクソンホール会議待ちのマーケットになっているだけというのが個人的な見解です。

取り急ぎ、質問については、こちらで回答をしておきます。

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