本日9/15はリーマン破綻日のコラム
本日は、マーケットのお話とちょうどリーマンブラザーズの破綻した日が2008年9/15なのでそのお話を少し面白く書いていきます。
先週のマーケットについては、来週に控えたFOMCで利下げが25bpなのか50bpなのかを睨む展開の中、ゴールドマンサックスのカンファレンスもありエヌビディアの社長が答弁したことにより、半導体の回復を後押しし、マーケットの自律反発が起きています。
今後、あくまでもアノマリーとしては、9月中旬以降から10月の中旬までは、最悪期に突入していくので、今年はどうなるのか?というのを警戒しながらになると思います。
特に大統領選年のこの時期はひどくマーケットのパフォーマンスが悪い時期に突入し、大統領選手前からマーケットが回復局面に入ります。
日本のマーケットにおいても、小売り、陸運などあまり大口投資家が好まないセクターが物色されつつ、ショートカバーが入る展開になっています。
投資主体別においても、同様で国人は先週は売り越しとなっており、先週と状況は変わっておりません。
ただし、このセクターに流れている資金というのは急展開してグロースシフトするものではないので、両立は可能ですので、先物やオプションの出来高も萎んでいる中で、過度に片方に取りにくいマーケット環境の中でどう変化していくのかは、見ていく必要があると思います。
また、日銀についても政策決定会合もありますが、マーケットの混乱を引き起こした直後で、利上げを行っていくことは考えにくいですが、12日に田村審議委員が2026年度までに政策金利1%程度まで引き上げ必要だとコメントしていることから、為替は円高方向に向かって動いております。
個人的には、直近特に金利を上げていくことがなければ、具体的なコメントを控えるべきであって、コミュニケーションやマーケットの織り込み要領が下手だなという印象を受けます。
また、マーケットに存在している、日本の現ディーラーやトレーダーは利上げ局面を経験している人間はほとんどいないので、金利市場は混乱をするでしょうし、今後の局面においても織り込みをうまくできるかどうかも怪しいと感じております。加えて、株式市場にも影響が出ますので、余程長い期間のマーケット従事者でない限り、その局面局面でプロですらあらゆる市場を予測するのは厳しいのでは?と感じている次第です。
基本的にディフェンシブに考えつつ、動いたものに対して間違っているのであればすぐ方向転換できるように、上にも下にも考えておくべきイベントが控えているというのは書いておきます。
TOPIXにおいてもこの3ヶ月はマイナスの中で、小売り、陸運が物色され、上がってはいるものの、セクターの騰落率としては有望なアップサイドで3%ほどなので、上下で細かく取れている方は別ですが、期待値としてはマーケットを触るより、休むか飛び道具をやっている方がはるかに期待値は高いというマーケットであったといえます。その辺は自分自身のできる範囲の中で対応しつつ、取り組んで貰えたらと思います。
ここからがコラムとなります。
本日は、何の日か?というと9/15です。2008年の9/15日はリーマンブラザーズが破綻をした日になります。
TOPIXは1177.20から約1ヶ月で、10月27日には746.46まで下落し、年明けの3月まで下げ続け、そこからヨーロッパショックに繋がっていくきっかけとなった日になります。
この時期は、日本においては派遣キリや雇い止めが発生し、大不況に陥いったわけですが、株式相場は景気回復への期待から上げていた中で、パリバショックが起こり一旦は上昇に転じたが、アメリカ合衆国の住宅バブル崩壊をきっかけとし、サブプライムローン、カードローン債券等、他分野の資産価格が暴落や兆候が見えている最中で、ファニー・メイやフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫へは、政府支援機関における買取単価上限額の引上げや、投資上限額の撤廃など様々な手を尽くしていたものの、サブプライムローンなどの延滞率は更に上昇し、住宅差押え件数も増加を続けていました。
この不良な不動産にローンやCDSといったローンの保険等の債権は、金融機関の抱える証券化された債券にどれだけ混じっているかは極めて分かりにくい状態の中で、保有している企業への影響、取引先への波及と連鎖などの恐れ、及びそれに対する米国の連保政府の対策の遅れから、米国経済に対する不安が元々落ちていた中で最大限に広がり、世界的な金融危機へと連鎖したというのが大まかな内容です。
こういった極度な信用不安の中で、金融機関は、バフェットに出資をお願いしにいくわけですが、拒否されてしまい、バンカメの株は安く持ってもらった形ですが、どこも体力がない状態で、公的資金も入らず破綻に向かうのですが、日本においても大和生命の破綻、農中の大幅な評価損、世界的な経済の冷え込みから消費の落ち込みから急速な円高により、輸出産業から大きなダメージが広がり、経済の大幅な大減速とつながりました。
このリーマンブラザーズは元々、4番手であったため過度なリスクを取っていたこともあり、日本企業のポンジスキームにも300億円ほどやられているような投資銀行でした。
このポンジスキームは、有名なアスクレピオス事件として有名ですが、今年代表の斎藤栄功氏が15年の刑期を終えて出所しています。
元々彼は山一証券出身で、メリルリンチという外資系証券、三田証券出身ですが、三田証券なんかは中堅証券でヘッジファンド商品を良く扱うようなとこで、メリルリンチはバンカメに吸収されました。
ちなみに山一証券の破綻後、この証券会社の受け皿になったのは、主にはメリルリンチと日興です。
当時の顧客の多くも同じで、潰れそうな山一証券の店頭で、野村證券と大和証券は顧客を煽りましたが、傷ついている企業を刺さなかった日興証券に大事な顧客と人員を渡しています。
彼の自宅も目黒区で自由が丘と八雲の間に邸宅を構え、私の日本の拠点のご近所さんだったのですが、斎藤氏は医療コンサルタント会社のアスクレピオスという会社を立ち上げ、いわゆる病院の再生事業、出資者を募って病院に金貸しを行って、利息を得るといった事業を展開していました。
ここには、北関東系のヤマダ電機ですとか、金融であればゴールドマンサックスであるとかリーマンブラザーズとか有名企業が出資者になりますが、闇深いのは総合商社の丸紅が間に入り、元本保証の確認書を入れさせ、この丸紅の社員とアスクレピオスとで投資金をポンジスキームとして回していたという事件であります。
リーマンブラザーズは300億円以上やられてわけですが、ゴールドマンに追いつけ追い越せで、相当なノルマを掲げてビジネスを行っていましたので、3ヶ月タームの短い高金利出資案件で、それも巨額に出資ができる事案。手玉に取られたわけですが、公的資金を入れてもらえなかったのも、バフェットからも断られたのも二流の投資銀行であったというのは事実でしょう。
勿論この案件に携わっていた投資銀行マンは多いでしょうが、外資系の取調べについては尋常じゃないので、日本法人の関与者については、相当問題視されたでしょうし、リーマン全体の負債額というのは山一破綻の何十倍なので、この事件の300億円という金額的にはインパクトは少ないですが、公的資金を注入したり、救済するかどうかの判断の材料の1つにはなったのではないか?というのは嘘ではないと思います。
このアスクレピオスは、東証マザーズ企業のLTTバイオファーマと株式交換を行って、裏口上場もしております。
この裏口上場については、当時流行っており、アスクレピオス以外にも、やっている企業はあり、合法的なやり方も多岐に渡りますが、自身の会社の時価総額を一気に上げることができたり、信用を得ることもできます。当時不振企業も多くありましたので、少し金を集めたり、外資系の報酬でざっと買えるような企業というのは、多くあったいうのも事実です。
そもそもなぜ大企業がポンジスキームに引っかかるのかというと、丸紅自体は医療器具を降ろしていたりするため、契約書の信憑性や日本の総合商社というところの独自慣習に加えて、特にリーマンについては、サブプライムで傷ついた中で増資で綱渡りしている中で、喉から手が出るほど欲しい案件であったわけで、3ヶ月タームで数十億単位で回していっているわけですから、いつかパンクはするのは目に見えているのはわかるものですが、印鑑等も偽造できますので、日本人であれば大企業の社内決済のスピードは理解していますが、その辺りの疑義なんかも米国企業は持たなかったのではないかと思います。
合計1,400億円ほどの大規模なポンジスキームですが、一部の企業やゴールドマンなんかは難を逃れていますが、被害に合った企業や金融機関も存在しており、一部の資金は行方不明です。
地下銀行なんかより流そうとして、最後はクロサギにといった結末ですが、ここについては、表に出ない話や関係者周りの部分は、出てこないところもあるでしょう。
斎藤氏本人は2022年に仮出所し、今年の5月に「リーマンの牢獄」という本を出版し、今年のベストセラーになっているので、金融の面白いノンフィクション作品としてはかなり面白いので興味のある方は読んでみてください。
当時の時代背景とか、証券業界の裏側が生々しい実態の一面も書かれたりもしていますし、金融商品なんかの話も出てきますが、こういったものがあるのか?だとか、普段株を売買してるだけとか投資信託を買ってるだけ、というような方には、ぜひ勘付くきっかけとしては読んでもらいたいなと思います。
事件の核心みたいなものは、全て書けないのは仕方ないとは思うので、そのうちネトフリとかアマプラ系のドラマ仕立てにすると物語としては面白いネタにはできそうな内容のお話です。
リーマンブラザーズ破綻の日に、少し簡単なコラム記事として書いておきます。