三木三奈『アキちゃん』「文學界」2020年5月号
まず読み始めてから、いったい主人公「ミッカー」は何歳の時点からこの物語を振り返っているのだろうかと、ずっと頭から離れなかった。
(それは最後、本当に一番最後に明らかになる)
とうのもこの「突き指もしたことがない」主人公の救いようのない自己中心的な共感性のなさのようなものを、いつの時点で振り返り反省するのだろうかと思って読みすすめていたからだ。
ところが途中でアキちゃんの名前と秘密がはっきりして、「あっと」この小説の主題が一見はっきりすしたような気になる。
この段階で、まずは