【Talk Is Cheap】(1988) Keith Richards ミックに対抗したキース意地のソロ第一弾
今回はローリング・ストーンズのギタリストキース・リチャーズの1stソロアルバムです!コアなストーンズファンでなければ、本作を聴いたという方はいないと思うので、ファンを代表して紹介させてもらいます💦
これがなかなか良いんですよ〜。ついつい肩をいからせてギターを弾くポーズでキースに成り切ってしまいます〜。
1980年代後半のストーンズの話題といえば、音楽よりも解散説。メディアもミックとキースの不仲ばかりを伝えて、ストーンズファンをヤキモキさせた時代でした。
引き金はミック・ジャガーのソロ活動。アルバム発表、大規模なワールドツアーまで敢行して、あぁこれはもう自然消滅かぁ…とほぼ諦めモードの風潮。
そんな所へ遂にキースまでがソロを…とファンをザワつかせたのが本作でした。
ミックのソロにケチをつけていたキースですが、チャック・ベリーのドキュメント映画《ヘイル!ヘイル!ロックンロール》(87年)に出演辺りからソロアクトへ前向きとなったようです。ここで共演したスティーヴ・ジョーダンを曲作りのパートナー、共同プロデューサーに迎えてレコーディングを開始します。
ちなみにスティーヴ・ジョーダンは、この度チャーリー・ワッツの死去に伴い、ストーンズの後任ドラマーに選ばれた人物。キースにしたら彼しか考えられない程に本作での共演は馬が合ったのでしょう。
基本的なバックメンバーは
スティーヴ・ジョーダン (Dr)
チャーリー・ドレイトン (B)
ワディ・ワクテル (Gt)
アイヴァン・ネヴィル (Key)
ボビー・キーズ(Sax)
サラ・ダッシュ (Vo)
全員がアメリカのミュージシャン。興味深いのは西海岸セッションギタリストのワディ・ワクテルの起用ですね。リンダ・ロンシュタット、スティーヴィー・ニックスなど多数共演をこなす彼の中に宿るロックンロールな感性に注目したのかもしれません。ここでは実質バンマス的な役割を負ってます。
バンド名は通称エクスペンシヴ・ワイノウズ。レコーディング経費よりメンバーの酒代の方が高くついたというエピソードから付けたと当時本人が仰ってました。いかにも(笑)
内容は多くの人の想像通り、ストーンズサウンドの核となるアナログなR&Rの感触ですが更に渋い仕上がり。意外にもソウルミュージック寄りの音を随所に聴かせており、キースのブラックミュージック好きが反映されています。
とはいえ決して趣味的な内容ではない事を私から強調しておきます(笑)。本人のリードボーカルもなかなかのモノで、歌心に目覚めたのもこの作品からだろうなぁと思いますね。
(アナログレコード探訪)
All songs written by K. Richards/S. Jordan
Side-A
①"Big Enough" 3:17
一曲目は何とファンク!しかも結構ドス黒いフィーリングでビックリ。それもそのはず、ベースがブーツィー・コリンズ、オルガンはバーニー・ウォーレル、アルト・サックスにメイシオ・パーカーとJB's~Pファンクの一派が参戦。意表を突くアーバンなブラックムード、キースの本作にかける意気込みを感じます。
②"Take It So Hard" 3:11
キャ~、カッコ良すぎる!本作からの1stシングル。
タメを活かしたギターリフ、拍をずらして入ってくるメロディ、かつてのストーンズを髣髴とさせる引きずるノリ。帰ってきました〜これぞキースです!昔も今も私はこの曲に最高にシビレれてしまうんです〜♥ 兄貴ィ〜
モノクロ気味のPVもミック・ジャガーに対抗しているようで面白い!この曲のみドラムとベースがコンバート。スティーヴ・ジョーダンがベースを弾いてます。
③"Struggle" 4:10
④"I Could Have Stood You Up" 3:12
チャック・ベリー流のオールドタイムR&R。当時のストーズですら演らなくなったタイプですが、本人はこういうの大好きなんでしょうね。ゲストにミック・テイラー、チャック・リーヴェルが参加。
⑤"Make No Mistake" 4:53
ソウルミュージックへの深い愛情が伝わる珠玉のナンバー。キースの渋いボーカルはディープで大人の妖しい雰囲気!
メンフィスホーンズが客演。アレンジはアル ・グリーンの育ての親として有名なウィリー ・ミッチェルとかなりのお膳立てです。
デュエットで歌ってるのは黒人女性サラ・ダッシュ。キースのソロにおいて彼女の存在感は印象的でしたが、2021年に死去されたとのこと。淋しい限り…残念です。合掌
⑥"You Don't Move Me" 4:48
Side-B
①"How I Wish" 3:32
この曲も最高!キースのオープンGチューニングのギターの鳴りがカッコ良すぎ〜。
ワディも気持ちいいソロ弾いてます。ストーンズとは違った乾いたアメリカンロックな雰囲気が格別です。
②"Rockawhile" 4:38
③"Whip It Up" 4:01
④"Locked Away" 5:48
⑤"It Means a Lot" 5:21
発表後の世間の反応も、概ね好意的だったと記憶してます。全米24位は大健闘。
ミックがシャープで綺羅びやかなサウンドを求めたのに対して、ルーズでアナログな音に拘ったキース。世間はストーンズの良心に胸を撫で下ろしたんでしょうね。
口先じゃ安っぽい。行動で示した会心の1作でした。
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