【I'm in You】(1977) Peter Frampton メガヒットライブ盤の後のヒット作
私の長らくの愛聴盤の1つに、ピーター・フランプトンの【フランプトン・カムズ・アライヴ!】があるのですが、何故か鬱蒼とした今のような梅雨の時期に、というか雨降りの日にフランプトンを聴きたくなります。
【カムズ・アライヴ!】収録の "Lines on My Face" と並んで大好きなのが、本作の表題曲 "I'm in You"。どちらもシットリしていて雨降りの日にピッタリなんです。
先日も突然に降り出した豪雨を、自宅の窓越しに眺めながらボンヤリと聴いていました。
甘くソフトだけど、英国人らしい切なさ漂うフランプトンのメロディと演奏。私には性に合うようです。
本作【アイム・イン・ユー】はピーター・フランプトンが人気絶頂だった1977年にリリースした通算5作目のスタジオアルバム。
全米チャートで2位を記録した、スタジオ作品としては最大のヒット作です。
甘美なメロディの表題曲を始め、フランプトンらしいセンスも健在ではあるのですが、正直言うと本作、彼の作品の中では出来映えは今イチかなと思うのです。取り上げておいて何ですが…。
マイルドさが売りの人ですが、このアルバムは甘過ぎなのです。曲もアレンジも!!
どうも昔から聴き流してしまうようなユルさを感じます。"Show Me the Way" で気を良くした十八番のトークボックス・ギターも乱用しすぎ。
フランプトンって売れる前も結構イイのですが、その頃にあった快活なポップさや、英国人らしい繊細な感性がこの作品では希薄。
メガヒット後の重圧で、やや守りに入ってしまったのかもしれません。
これ以降、彼はセールス面で下降を辿っていきますが、ここでもっとシャキッとしたアルバムを出していれば、その後の立ち位置も変わっていたのかな、なんて考えたりします。
ゲストにはグラミー賞で覇を争ったスティービー・ワンダーが見事なハーモニカ(B-③)、ミック・ジャガーがネチっこいコーラス(B-②)で参加。憧れのスターとも共演を果たし、自らもスターダムにのし上がったフランプトンの記念碑的な作品となっています。
All written by Peter Frampton, except B-④⑤
Side-A
①"I'm in You" 4:10
②"(Putting My) Heart on the Line" 3:42
③"St. Thomas (Don't You Know How I Feel)" 4:15
④"Won't You Be My Friend" 8:10
Side-B
①"You Don't Have to Worry" 5:16
②"Tried to Love" 4:27
③"Rocky's Hot Club" 3:25
④"(I'm a) Road Runner" 3:40 (Holland, Dozier, Holland)
⑤"Signed, Sealed, Delivered (I'm Yours)" 3:54 (Garrett, Hardaway, Wonder, Wright)
A-①"I'm in You"
昔、山本さゆりさんのラジオ番組でやってた「全米2位止まりの曲特集」で初めて聴いて以来、私のフェイバリットです(^^)
この曲の音の悪さが気になってたのですが、本人のライナーに拠ればハンブル・パイのジェリー・シャーリー(D)所有の機材で録った、ピアノと歌のみをホームデモが基になってるそうです。納得。
フランプトンによるピアノと歌。何とも甘く切ないメロディ…。ギターソロも濡れてます。
A-③"St. Thomas (Don't You Know How I Feel)"
フランプトンの素朴さが出たフォーキーかつポップな一曲。これも良い曲ですね。今回発見しました。
少し甲高くて細い彼の声質は、マイルドなメロディと相性バッチリ。この当時らしいシンセの音もイイ。ジャズに影響を受けたギタープレイも流暢で、ギタリストとしての主張が感じられます。
A-④"Won't You Be My Friend"
リトル・フィートをイメージしたと言う、いかにもスタジオライブ風のジャムナンバー。珍しくフランプトンもローウェル・ジョージばりにスライド・ギターを披露。
実際にフィートのリッチー・ヘイワード(D)がコンガでゲスト参加しており、タイトなビートにラフなノリが心地良く、なかなか楽しそうな演奏です。
B-④"(I'm a) Road Runner"
ラスト2曲はモータウン・クラシック会心のカバー。本作の甘ったるいムードを吹き飛ばす演奏です!
ところでこの曲、脱退後のハンブル・パイもレパートリーにしており、何ゆえの選曲だったのか疑問です。フランプトン在籍の頃からリハーサルなどで定番だったのかもしれません。パイと違ってテンポのいいアレンジ。S.マリオットとの資質の違いが明らかですね。
アルバムカバーの衣装センス同様に、今ではすっかり古びてしまった本作とピーター・フランプトン。
この時代らしい生温さは否定出来ませんが、どこか愛おしく、私にとっては表題曲聴きたさに時折引っ張り出してしまうアルバムなのです(^^)
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