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【Sticky Fingers】(1971) Rolling Stones ストーンズ・レーベルの第一弾

ストーンズ諸作の中でもとりわけ印象に残るジャケットの本作。ジーンズのイラストに本物のジッパーが付くというのはなかなか秀逸なポップアートですよね。アイデアはアンディ・ウォーホール、流石です。
高校時代、陸上部だった私は練習にこのTシャツ(ジッパー付き)を着て行ったら、顧問にド叱られたことがありました(笑) 嫌な思い出です。練習中になかなか水も飲ませせてくれない時代の話です…。

本作はストーンズが1971年に設立した自らのレーベル、ローリング・ストーンズ・レコードから発表された最初の作品となります。あの有名なベロマークもここからスタートしますね。

ストーンズ・クラシックと呼ばれる "Brown Sugar"  "Wild Horses" "Dead Flowers" 等が収録され評価も高い作品ですが、割と色々なタイプの曲が入っています。カントリー、ブルース、メンフィスソウル、ラテン風ジャムセッション、はたまたアジアンテイストな曲まで…。
やはり自身のレーベル第一弾ということで、バンドの多面性をアピールしようとショウケース的な意味合いもあったのかと思います。商売上手なミック・ジャガーなら考えそうです(笑)。

やや統一感に欠けると言えなくも無いですがブライアン・ジョーンズの死去、オルタモントの悲劇、アレン・クラインとの金銭的な揉め事など混乱期の中で、自分達をアピールした立派な作品だと思いますね。
クリエイティブな面でも最高潮を迎えていたことは、ソングライティングやキース・リチャーズのギタープレイからも伺えます。

この時期のストーンズの気怠い感じって、私は好きなんですよね。80年代のハイパーなストーンズも好きですが、この時代にしかない空気感に惹かれます。魔性のイメージも健在ですね。

〜ミック・テイラーの価値〜

さて本作はミック・テイラーがフル参加した最初のスタジオ作品ですが、ここではちょっと彼に関する私なりの考えを。

元ジョン・メイオールのブルースブレイカーズ卒業生ということで、エリック・クラプトン直系のギタリストというのが一般的な評価ですが、私はちょっと違うかなと思ってるのです。
このミック・テイラーという方、クラプトンのような直情型のギタリストではないんですよね。リズムをためてためて一気に吐き出すというような、所謂本格派ブルースのスタイルではないのです。ブルージーなフレーズ使いを得意としますが、ためはしない。ゆえに爆発もしない。
長いギターソロでは、コード進行から膨らませたメロディをキチンと組み立て、ジワジワと盛り上げていくのも特徴です。この端正なプレイが結果的にストーンズには非常に合ってたと思うのですよね。

本作ならA-② "Sway" の後半ギターソロ。ハンマリング・オンとプリング・オフを繰り返しながらフレットを上下して非常に艶と粘りのあるメロディ(ややオリエンタルな香り)を展開。ゆっくりと絶頂へ持っていきます。
いきなり感情移入たっぷりにチョーキングから入るようなことはないのです。
アジアンテイストなB-⑤ "Moonlight Mile" も器用なテイラー無しには完成しなかった曲でしょう。

急場で差ほど時間もない中の人選でしたが、テイラーはこの時期のストーンズにはまさに "見っけもん" だったと思いますね。ミックやキースより4歳年下で、大人しく従順だったことも重要ですね(笑)。


(アナログレコード探訪)
〜ジッパー・ジャケットの中身は?〜

裏ジャケット。本作の表のジッパーの中身って、意外と知られていないと思います。覗いてみました😁
まずジッパー下ろします。同性として変な感じ…。
ベルトの部分から開いてみます!
じゃ~ん!アンディ・ウォーホールの名前が入ったブリーフパンツが出てくるのです〜!😆

〜元から籠った音質〜

ワーナー・パイオニアの日本初回盤。いわゆるワーナー8000番台です (P-8091S)。このあと75年にカタログ番号を替えて再発されています(P-10131S)。  本作は音が悪いんですよね。非常にモコモコした、籠った音です。CDでも音が悪いのが分かります。 
アトランティック・レコードのサブレーベルであるアトコ配給の米国初回盤(COC 59100)。        日本盤に比べれば音圧あって迫力ありますが、やはりモコモコ感は変わりません。以前私にコメントを下さった方の話によれば、ストーンズ所有の可動式モービル ・レコーディング・ユニットで録音されたツェッペリン、パープルのレコードは音が悪かったとの事でした。【4】【マシン・ヘッド】【紫の炎】は確かに音がイマイチ(個人的にはフェイセズ【ロング・プレイヤー】も)。本作も一部マッスル・ショールズ録音ですが、大半は可動式ユニットで録音、ミックスされています。まぁ細かい事は言わず、本作は大音量で楽しむべきでしょうね。         


All tracks are written by Mick Jagger and Keith Richards, except A-⑤, B-③

Side-A
① "Brown Sugar" 3:48
ライブバージョンもいいですが、やっぱりこのアコギをかき鳴らすスタジオ版の独特のグルーヴは最高ですね。


② "Sway" 3:50
昔コピーしたら C-F-G が基本の簡単な3コードでしたが、コードチェンジが急なのでキースではなくミックが作ったと思います(笑)。
全編で控えめに聴こえるピアノはニッキー・ホプキンス。気品あります。


③ "Wild Horses" 5:42
グラム・パーソンズとの関わりの中で生まれた珠玉のバラード。この時代のミックの気怠い歌い方がイイですね。


④ "Can't You Hear Me Knocking" 7:14
イントロのキース・リチャーズのオープンGチューニングによるギターリフがカッコいい!! 長尺のジャムセッションです。ボビー・キーズのサックスソロ辺りから緊張が高まりラテン風味も。終盤はテイラーのフレーズに皆が吸い寄せられて行く辺りにゾクゾクします。


⑤ "You Gotta Move" (McDowell, Davis) 2:32

Side-B
① "Bitch" 3:38
米国南部を強く意識したストーンズ流スワンプロックといった感じですね。粘っこい演奏と歌です。この辺りからホーンセクションの使い方が上手くなっていきますね。ミックの歌も力強い。キースは得意のチャック・ベリースタイルでリードギターを弾いてます。


② "I Got the Blues" 3:54

③ "Sister Morphine"
(Jagger, Richards, Faithfull) 5:31

④ "Dead Flowers" 4:03
ストーンズ流カントリーロック。前曲の重苦しさから開放されたような安心感をいつも感じます。ピアノはイアン・スチュアート。


⑤ "Moonlight Mile" 5:56

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この時代のストーンズが全盛期と言われることも多く、各曲がキャラの立った充実した内容ですね。でもこのアルバ厶って緩急が激しいせいか、私は意外と緊張を強いられるのです。一回聴くと疲れます💦

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