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【A Nod's as Good as a Wink... To a Blind Horse】(1971) Faces フェイセズ傑作の3rdアルバ厶

70年代の英国ロックシーンでイカしたR&Rバンドといえばフェイセズを思い浮かべます。

Small Facesのロニー・レイン、イアン・マクレガン、ケニー・ジョーンズの3人と、Jeff Beck Groupのロッド・スチュワート、ロン・ウッドで結成した5人組。飛びっきり演奏が巧いわけではないけれど味のある音楽を聴かせたバンドです。
フェイセズが残した4枚のスタジオ作品で代表作といえばヒット曲 "Stay with Me" も収録した本作でしょう。曲も粒揃いですね。
インパクトある邦題【馬の耳に念仏】のせいで、間違いなく邦題で覚えてしまっている1枚です。

本作を発表した1971年は、フェイセズにとって大きく飛躍した年でした。ボーカルのロッド・スチュワートがソロで大成功を収めたことで、バンドを取り巻く環境が大きく好転しました。メンバーもロッドのソロ作品で主なバックを勤めていたので二重の喜びだったでしょう。

勢いそのままに同じ年に発表した本作は、メンバーのパワーバランスも一番釣り合っていた時期の作品かもしれません。
1つ前の【ロング・プレイヤー】も素晴らしい内容でしたが、この【馬の耳に念仏】はサウンドもよりヘヴィになって、バンドが自分達の音を確立した作品という感じがしますね。

個人的にフェイセズは、アメリカの音楽とイギリスの音楽をゴッタ煮にしたような音に聴こえます。
ロニー・レインの古い歴史や音楽への造詣、ロッドの英国フォークルーツの他にも、メンバー全員がR&R好きで、そういった要素をグチャッとひと纏めにしたような印象です。
ちょっと未整理なところがこのバンドの魅力なのでしょうね。

よくローリング・ストーンズとの類似を指摘されますが、フェイセズの方が演奏もずっとルーズ。計算高くないアマチュアの延長のような雰囲気がフェイセズの良さですね。


(アナログレコード探訪)
〜ジャケット3種あれこれ〜

本作にはジャケットが3種類存在します。英国盤と米国盤で計3種。写真の大きさ、バンド名のロゴ、タイトルの書体などが違っていました。

英国初回盤は写真が小さく、大文字でFACES、
【a nod's as 〜】表記。(紙ジャケットCDより)
英国2ndプレスは写真が少し大きくなります。
米国盤は写真が1番大きく、小文字でfaces、
【A nod is as〜】表記。

日本盤は米国盤と同じ。デザイン的には米国盤の方が優れていると思いますね。

初回プレスだけに封入されていた巨大ポスター。
これが付いてると中古レコードも高額です。
(紙ジャケットCDより)


〜フェイセズに音質を求めるべからず〜

フェイセズのレコードの音は、1stからどれも良くないです。くぐもった感じでクリアとは程遠い音。途中でテンポチェンジする楽曲も多く、ノリを重視した一発録り方式だったことが原因かと察します。このバンドは音質など二の次だったでしょう(笑)

英国ワーナー・ブラザーズ初期盤 マト1/1
フェイセズ作品の中でもかなりデカい音です。
個体差というより、意図的に爆音を狙ったように思います。音は完全に潰れてますがこれぞR&R!
米国ワーナー・ブラザーズ初期盤 マト1B/1A
こもってるけどマスタリングを施した比較的聴きやすい音です。


〜曲紹介〜

Side-A
① "Miss Judy's Farm" 3:38
ウッディことロン・ウッドの歪んだ音のギターで始まるミディアムテンポのR&R。
このヘヴィな感触!カッコいいですね〜。大好きな曲です。マイクスタンドを持ち上げて仰ぎ気味に歌うロッドの姿…つい思い浮かべてしまいます。ロッドとウッディの共作。

② "You're So Rude" 3:41

③ "Love Lives Here" 3:04
ロッドがボーカリストとしての魅力を遺憾無く発揮したロッカバラード。この手の曲を歌うロッドには心底シビレます。しわがれた声の何とセクシーなことか…。
イアン・マクレガンがピアノにオルガンと大活躍。哀感を誘います。ロニー、ロッド、ウッディの共作。

④ "Last Orders Please" 2:33

⑤ "Stay with Me" 4:37
フェイセズ最大のヒット曲。冒頭のギターリフで一気に引き込んでしまう必殺ナンバー!途中テンポチェンジしながら、歌の箇所はドッシリと、それ以外では疾走するアレンジの構成も見事です。


Side-B
① "Debris" 4:36
ロニー・レイン単独の作品で、ボーカルも本人。本作の隠れた名曲です。米国への憧れが溢れ出ていますね。朴訥とした歌声がいかにも優しそうな彼らしい。サビ部分ではロッドが登場。デュエットします。んー、泣けますねぇ…。

② "Memphis" 5:29

③ "Too Bad" 3:12
ラスト2曲はお得意のR&R。こちらアクセル全開のナンバーです。コントロールルームとの会話から始まる辺りがラフですね。
演奏に勢いあるし、ロッドの歌もこの頃は野性的。やっぱりフェイセズはイカしたR&Rバンドだと実感の一曲です。


④ "That's All You Need" 5:06

本作の裏ジャケットにはメンバーを模した人形の写真。表はライブ会場のワンショットが使われています。どちらもロッド・スチュワートとロニー・レインが寄り添う構図というのがイイですね。
バンドの本質をキチンと伝えています。

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