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J.Geils Band初期3作品 〜黒人音楽をこよなく愛したド直球のロック魂

70年代から80年代始めにかけて活躍した米国のロックグループ、J.ガイルズ・バンドと言えばとにかくムンムンした男臭さです。しかも濃厚。聴く側の好みを選ぶバンドかと思いますが、好きなファンにはたまりません。

82年のNo.1ヒット"Centerfold"(墜ちた天使)が有名ですが、バンドの本質はやはり1970年代のアトランティック・レコード在籍期です。

ピーター・ウルフの早口MCとまくし立てるボーカル、ブラックミュージックに深く根差したけれん味のないサウンドは、如何にもアメリカのバンドといった風情。
特にデビューから暫くはブルース、R&Bに真っ向勝負で挑んでいくシンプルかつダイナミックな音が魅力です。

今回はそんなJ.ガイルズ・バンドの熱い、熱い初期3枚の作品を取り上げます〜。

1st 【The J.Geils Band】

1970年11月発表(全米195位)

メンバーは6人
ピーター・ウルフ(Vo)
J・ガイルズ(Gt)
マジック・ディック(Harp)
セス・ジャストマン(Piano, Organ)
ダニー・クレイン(B)
ステファン・ジョー・ブラッド(Dr)

アメリカのストーンズとも呼ばれ、ブラックミュージックの熱烈な信者でもあった彼等がアマチュア時代からステージでカバーしてきたブルース、R&Bにオリジナル曲を程よく配したデビュー作です。

マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフなどシカゴバンドブルース直系の楽器編成からも、白人ながら並々ならぬ本気度が伝わってきます。処女作とあって演奏に硬さが残りますが、こちらジョン・リー・フッカーの十八番だったスローブルースのカバーは圧巻!

"Serves You Right to Suffer"


2nd 【The Morning After】

1971年10月発表(全米64位)

初期J.ガイルズ・バンドのワイルドな魅力をギュッと纏めた2作目。プロデュースは、ビル・シムジック。
ピーター・ウルフ&セス・ジャストマンのライターコンビによる楽曲を軸に、バンドの演奏も急成長。ブルース、R&Bを自分達なりに落とし込んだR&Rが熱いです。
バンドのスタイルを確立した、ブレイクへの足掛かりへと繋がった重要作と言えます。

"I Don't Need You No More"

ストレートなR&Rも抜群のノリの良さを感じる冒頭の一曲目。その後幾度となく繰り返す彼等お得意のスタイルですが、やっぱり初期は活きが良い!ウルフ=ジャストマン作。


"Cry One More Time"

これが良い曲なんです。ウルフ=ジャストマンの傑作。武骨な中にもさり気ない哀愁を滲ませた "歌心" がキラリと光ります。個人的にも彼等を好きになるキッカケの曲でした…。
あのグラム・パーソンズもソロアルバムでカバーした、ホロッとくる名曲です。


"Floyd's Hotel"

彼等の出自はやはりブルースバンドなんですね。ハッキリと実感するのがこちら。
シャッフルビートに乗っかってタフなシカゴブルースを披露。思わずリズムを刻みたくなる本場のノリですね〜。
ブルースハープの音色が、黒人ゲットーの空気を運んできます。


3rd 【"Live" Full House】

1972年9月発表(全米54位)

ここまでのキャリアを総括した初のライブアルバ厶。理屈抜きでノリまくり!熱いデス!!
次から次へと曲を畳み込んで、客を煽っていくピーター・ウルフのパフォーマンスにはただただ圧倒されっ放しです💦
当時、ツアーで共にしたオールマン・ブラザーズ・バンドも彼等を絶賛したとか。

私的には後の2枚組ライブが好きですが、あくまで直球勝負で攻めまくるライブバンドとしての魅力が詰まった名盤です。

"Whammer Jammer"

バンドを牽引するリード奏者といえばブルースハープ担当のマジック・ディック。こちらは彼がブロウしまくるインストR&R。
実は私もブルースハープを嗜もうと試みたことがあるのですが、その時の教材にあったのがこの曲でした💦 吹けるかっつーの!!😅
少し後の79年のライブ映像です。絶好調!


 "Looking for a Love" 

アルバムの最後は彼等の初ヒット曲。濃厚な演奏で腰が立たなくなってるところへアッパーなこの曲でダメ押し。ボビー・ウーマックが在籍したヴァレンティノズのR&Bナンバーのカバーです。
映像は本作と同じ1972年のライブ。P.ウルフが元気で良く動きます。的確なビートを叩くステファン・ジョー・ブラッドがコーラスも担当。ギター →ハープ →ハモンドとパスするソロ回しも見事ですね。


ブラックミュージックのカバーバンドから飛び出して、ロックシーンで天下を取ってやろうといった感じの若かりしJ.ガイルズ・バンドの6人。
垢抜けないけど、凄まじく向こう見ずな勢いが愛おしいです(^^)

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