【Little Feat】(1971) 泥臭いスワンプロック風味のデビュー作
急に暑くなりましたね〜。
関東は突然の梅雨明けから連日の酷暑です。晴れ渡る青空を見ているとやっぱり爽快な音楽が聴きたくなります。
リトル・フィートの本盤1曲目"Snakes on Everything" などはまさにピッタリ。どこまでも高く舞い上がるような曲調とハイトーンのスライドギター、夏らしく好きな曲です〜。
このリトル・フィートのデビュー盤、なかなか荒削りで南部ルーツ剥き出しの音なんですよね。後にニューオーリンズの音楽など取り入れて独自のファンキーサウンドを確立した姿とは違った、まるでスワンプ・ロックのような泥臭い音。暑苦しいです!アーシーで生々しく、アレンジも至ってシンプルです。
中でも耳に残るのがローウェル・ジョージのスライドギター。結構ラウドなんですよね。後年のコンプレッサーを使った伸びやかな音が有名ですが、本作ではかなり歪んだ音を聴かせて、これがまた一層スワンプ感を醸しています。
曲はハウリン・ウルフのブルースカバー以外は、ほぼローウェルとビル・ペインの共作か単独。
カントリーあり、R&Rあり、泥臭い曲もメランコリックな曲もあって統一感はいま一つ。でもこの頃は丁寧な構成の曲作りもあって、ソングライティングには拘っていたように伺えます。興味深い出発点ですね。
映画産業が看板のワーナー・ブラザーズからのリリース。プロデュースはラス・タイトルマンとあって、バーバンク・サウンドらしい流麗なストリング、ホーンのアレンジも一部に施されており、不思議な美しさもあるスワンプサウンドです。
(アナログレコード探訪)
Side-A
①"Snakes on Everything" (Payne) 3:04
②"Strawberry Flats" (Payne, George) 2:20
③"Truck Stop Girl" (Payne, George) 2:32
④"Brides of Jesus" (Payne, George) 3:20
⑤"Willin'" (George) 2:24
⑥"Hamburger Midnight"(George, Estrada)2:30
Side-B
①"Forty-Four Blues / How Many More Years" (Sykes, Burnett) 6:25
②"Crack in Your Door" (George) 2:16
③"I've Been the One" (George) 2:20
④"Takin' My Time" (Payne) 3:45
⑤"Crazy Captain Gunboat Willie" (Payne, George) 1:55
A-①"Snakes on Everything"
ラウドで伸びのあるスライドギターが印象的な一曲目。ビル・ペイン作、ザラついた歌声も本人ですね。
ビルのピアノと歌に絡むローウェルの雄弁なスライドギター。ホーンセクションも程良いアクセント。西海岸バンドらしい爽快さもスケール感もあって本作でも大好きな曲です。
A-④"Brides of Jesus"
ローウェル、ビルの共作。本作では2人の共作が4曲ありますが、これはかなり感傷的でメランコリックな曲調。しかもオルガン、ストリングスと華麗なバーバンクアレンジが加わり、これ以降見せなかったスタイルが新鮮です。
A-⑤"Willin'"
ローウェルの代表的ナンバーですね。
こちら初演版はスライドギターがライ・クーダー。ネチっこいプレイは流石です。ローウェルの不愛想な歌と相まって、土ぼこりがプンプン舞ってるようなテイクです。
次作【セイリン・シューズ】ではバンドアレンジで再演。私はそっちが好きです。
B-③"I've Been the One"
ローウェル作の珍しく直接的なカントリーロック。ゲストのスニーキー・ピートのスティール・ギターが決め手。まだバンドの方向性が定まらない初期ならではアプローチです。
B-④"Takin' My Time"
ビル作。コード進行、メロディのひねりなど後のジャズ・フュージョン風の彼の作風にも通じてるような…。この辺りはローウェルとの個性の差を感じますね。
ボニー・レイットがカバーしました。
後のリトル・フィートとやや趣きが違う本作は、切り離して考えた方がいいでしょうね。ちょっと優美なスワンプロックといった感じでしょうか。
ワイルドな中にも、時折見せる感傷的なメロディにホロッとさせられるデビュー作です。